いきいきらいふ

年齢を重ねてもそれまでの生活や趣味を大切に、自分らしく暮らしたい─。みどり市のナーシングヴィラTOHO「花時計」(中沢康子管理者)とサービス付き高齢者向け住宅「クレイン東邦」(槙絹江管理者)では、入居者の願いをかなえるため、医療と介護のスタッフが連携。個々の健康状態や習慣に応じたサービスで、入居者の高い満足度を生み出している。


“自分らしい暮らし” 大切に

共有スペースで談笑する入居者たち=クレイン東邦

ナーシングヴィラTOHO「花時計」

花時計の管理者
中沢さん

24時間の看護サービスが付いた住宅型有料老人ホーム、ナーシングヴィラTOHO「花時計」は2015年1月、みどり市にオープンした。ヴィラはもともと郊外の別荘などを指す言葉。花時計も閑静な住宅街に建つ。

ベッド数55の小規模ケア施設。健康状態などに合わせた選択ができるよう居室は3棟に分かれており、中心には庭園が広がる。管理者の中沢さんは「入居者の皆さんには自然豊かな環境の中、自然体で過ごしてほしい」と話す。アジサイやツツジなど数十種の植物が植栽された庭園は四季を通じて緑を楽しめ、「リラックス効果もあります」と職員の栗原章さん。入居者は小道を歩いたり、木々を眺めたり、花時計での暮らしを満喫している。

歩きやすい小道が整備された庭園=花時計

開かれた場所、目指して

同施設では地域交流に力を入れている。敷地内の病院「森の診療所」は地域の人たちも利用できるほか、月に1~2回、施設内で「認知症カフェ」を開催。「どこに相談すべきか分からず、戸惑っている患者さんとご家族の力になれれば」(中沢さん)と職員やほかの家族と気楽に意見交換できる機会を提供している。

「職員の勉強会に力を入れ、よりよい施設を目指したい」と中沢さん。開所から1年半で中庭の木々もだいぶ伸びた。「こんなふうにサービスの質も伸ばしていけたら」と展望を描く。

サービス付き高齢者向け住宅「クレイン東邦」

サービス付き高齢者向け住宅*「クレイン東邦」では、自立可能な人から医療処置が必要な人まで、幅広い入居者が暮らす。その生活を支えるのは向かいにある東邦病院、デイサービス、訪問介護ステーションなど、多様な形態で高齢者を支える併設施設と職員たち。

管理者の槙さんは「医療・介護・看護が連携することで、例えば突然医療処置が必要になった時もそのまま住み続けることができます」と安心の理由を説明する。

「一日があっという間」

クレイン東邦の
管理者・槙さん

今は自宅でも十分に過ごせるが、将来を見越して入居している人も多いため、主治医やデイサービスの選択など、入居者自身が決定することも多い。「ご本人やご家族と話し合いを重ねながら、生活歴をふまえてここでの暮らしを一緒につくります」(槙さん)。入居者は自室と共有スペースをうまく使い分けながら、“その人らしい”生活を実現している。入居者の一人、津久井ヒロ子さん(85)は「皆で百人一首をしたりキッチンで青菜をゆでて食べたり、ここでは一日があっという間」とほほ笑む。

家そのものであるサービス付き高齢者向け住宅。槙さんは「今後は生活の中で自然にリハビリができるような仕組みを考えたい」とアイデアを膨らませている。

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