サービス付き高齢者住宅、通称「サ高住」は、入居者のニーズに応じ、さまざまなサービスを提供する高齢者専用の賃貸住宅だ。「萬葉[まんよう]の杜[もり]」(布目孝之管理者)は、昨年9 月、前橋市下大島町にオープン。母体の上毛病院に隣接、デイサービスと訪問看護ステーションを併設する総合的な支援体制を整え、地域の中で存在感を増している。
和の意匠で
リラックス空間演出
細やかな気配り忘れず
設備の意匠は高齢の入居者にもなじみ深い和の雰囲気を大切にしている。駐車場から玄関へのアプローチには朱色の柱、共有スペースの壁紙には一部桜の模様、各居室の壁紙も藤色、若葉色などを採用。服部真弓理事長は「入居者の皆さまに自然体で人生を楽しんでほしいから」と雰囲でほしいから」と雰囲気づくりへのこだわりを話す。散髪の時に入居者が利用する「美容カー」に自らも乗車体験してみるなど、細やかな気配りを忘れずに施設運営に当たっている。
積極的に声掛け実施
定員は50人。スーパーやドラッグストアなど、生活に便利な施設がそろうにぎやかな場所に位置するが、ゆったりと敷地を使い、建物内はとても静か。布目管理者は「そのまま静かに過ごすこともできますが、動ける方には一日を活動的に過ごしていただきたいので、声掛けを大切にしています」と話す。「体調はどうですか?」「新しいミシンの調子はどうですか?」。取材中もそれぞれの入居者に合わせて、穏やかに声を掛けていた。
専用ルームには一通りのリハビリ器具があり、作業療法士が指導に当たる。加えて「生活リハビリにも力を入れたい」と布目管理者。着替えや歩行など、日常の動作をしっかりと行うことで、入居者が身体機能を維持する仕組みをスタッフとともに模索している。
連携でさらなる安心を
スタッフのがんばりに入居者の評判も上々だ。窓際で明るい日射しを浴びながら、笑顔を輝かせているのは有馬光子さん(85)。「いつでも気兼ねなくおしゃべりができて、まるで学校の寮で過ごしているみたい」と入居後に知り合い、仲良くなった服部陸子さん(85)、永井永さん(92)と美容のこと、故郷のこと、次々に話題を変えながら楽しい時間を過ごしていた。
布目管理者は2年目に向け「グループ施設間のかかわりをより強いものにし、入居者の皆さまにさらなる安心・安全を提供したい」と前を見据えている。