おいしい肉を食卓に
愛情を注いで育てる
全国有数の養豚県として知られる本県は、地域の特色を生かした多くの銘柄豚が飼育されている。「榛名ポーク」もその一つ。赤城山西麓の自然豊かな農場で育った豚は、肉質が柔らかく濃厚な風味が特色で、「しゃぶしゃぶにしてもおいしい」と人気がある。
「養豚の仕事は楽しいし、やりがいもあります」と話す依田さんの表情には、充実感がみなぎっている。農場を経営するオーケーコーポレーションに入社して8年。「おいしい肉を家庭の食卓に届けたい」との思いで日々、豚の世話に従事している。
肉豚は1万2000頭飼育
農場は標高700メートルの傾斜地にあり、約17ヘクタールの敷地に20棟を超える豚舎が、川の字のように整然と並んで建っている。中には長さが100メートルという大きな豚舎もある。
「ここでは母豚1800頭、肉豚1万2000頭、子豚4000頭を飼育しています。私の担当は子豚の世話です。とってもかわいいので、作業に没頭していると1日があっと言う間に過ぎてしまいます」と笑顔で話す。
豚の成長は非常に速く、母豚の出産から約180日で肉豚として出荷が可能になる。この間、哺乳期(約20日)、人工乳期(約50日)、子豚期(約50日)、肉豚期(約60日)の各発育段階に合わせて人工乳や飼料を与えて肥育している。
「豚はとてもデリケートな動物なので、驚かせたり衛生状態が悪かったりすると、ストレスで病気にかかりやすくなります」。特に子豚の場合、発育に影響するので、豚舎の洗浄や健康管理に細心の注意を払っている。
飼料に独自の工夫を
豚肉の味は健全な発育と、食べさせる飼料によって大きく左右されるという。「当農場にはきれいな空気と、山の天然水を使った飲み水が豊富にあり、飼育環境はとても良いと思います」と依田さん。
飼料についても、豚の出荷60日前からカロリーの高いトウモロコシを使用せず、でんぷん質の多いマイロ、麦、イモ類を使った飼料を与えるなど工夫しており、これが独特の肉のうまさを生み出しているようだ。
かつての養豚業は3Kの暗いイメージが強かったが、いまや機械化が進み、餌や水やりは自動化され、手作業は少なくなっている。「その分、豚が快適に過ごせる環境づくりと体調管理に時間を割いています」と話す。特に怖いのは「豚流行性下痢」などの感染症で、豚舎を出入りする際の消毒を徹底している。
「愛情を注いで育てているので、自信を持って榛名ポークをおすすめしています」と力強く語る。