2人に1人ががんになる時代、がんは慢性疾患といわれるくらい身近な病気になリました。それでも、がんが見つかると大半の人はショックを受け、冷静ではいられません。家族や周囲の人たちも、どう接したらよいか分からないと感じることもあるでしょう。そこで渋川市白井の渋川医療センター院長で呼吸器内科医の斎藤龍生さんに、がんとの向き合い方のアドバイスをもらいました。
“がん”が見つかった時、
どうする!?
気持ちが沈んでしまったら
がんが見つかって動揺しない人はいません。混乱したり、不安になったり、大きく落ち込むのも当たり前の心の反応です。その後少しずつ日常生活に適応できるようになり、がんについて調べたり、治療に取り組むように なります。しかし、人によっては2カ月以上たっても不安や抑うつ状態が続く場合があります。いつまでも落ち込んでいるようであれば心のケアの専門家に診てもらうことが必要です。
何から手を付けたらいい?
主治医が病状について詳しく説明しても、大半の人は頭が真っ白で内容の半分も覚えていないといいます。1人で聞かないで、できるだけ頼りになる同伴者と一緒に聞くようにし、説明の要点は書面で求めましょう。がんの治療は科学的な根拠に基づいて作成されたガイドラインに沿って行われ、①病名②病期(ステージ0~IV期=進行度)③全身状態―を甚に治療方針が検討されます。この三つをしっかり確認して、まずは自分の病気の状態を理解しましょう。
誰かに相談したいけれど
患者さんの半数以上は、痛みなどの身体的苦痛のほかに不安や恐怖などの精神的苦痛、これからの生き方に悩むなど霊的(スピリチュアル)苦痛を抱えています。主治医の力だけでは全ての苦痛を取り除くことはできません。
がん診療連携拠点病院など県内17カ所の病院には「がん相談支援センター」があり、誰でも利用できます。がん医療やサービスに関する情報だけでなく、カウンセラーやソーシャルワーカーなど各専門分野のプロに相談できます。がんは本人だけでなく家族にとっても大事です。遠慮せずに使えるものは何でも利用していいのです。
もっと良い治療法はないか
時間は元には戻せません。まずは、ガイドラインで推奨されている「効く確率の高い治療(標準治療)」からチャレンジすることをお勧めします。インターネットなどで「がんが治る」とうたった民間療法が目に留まりませんか。しかも、高額な商品ほど高い効果がありそうに思えてしまいます。民間療法は誰にでも効く治療法ではありません。大きな副作用がなければ(たとえ効果が無くても)否定はしませんが、使う時はあらかじめ主治医と相談した上で、「腫瘍が大きくなったら中止する」など止める基準を決めておきましょう。「今よりもっと良い治療法があるのではないか」と治療方針を誰かに相談したい時は、遠慮せずにセカンドオピニオン制度を利用してください。