カリウムは銀白色のアルカリ金属の1つで、これを高温で熱すると、淡紫色の炎色反応が生じます。生体内にはカルシウムやリンの次に多く含まれていて、人の体内で作ることができないため、毎日の食事から、きちんと摂りたいミネラルです。
現在、日本人に不足しているミネラルはカルシウム、過剰なミネラルはナトリウムですが、カリウムは、このナトリウムと非常に密接な関係にあります。
執筆者略歴
かさはら・よしこ 高知県立高知女子大学家政学科卒。徳島大学大学院修了。長年、管理栄養士・栄養士養成課程で教べんをとる。桐生大学教授を経て2014年度から 山形県立米沢栄養大学に在職。専門は栄養教育。管理栄養士・保健学博士・日本コーチ協会メディカルコーチ。
カリウム摂取の現状と課題
平成26年の国民健康・栄養調査報告では、1人1日当たりのカリウム摂取量(20歳以上)は約2,300mg(男性約2,400mg、女性約2,200mg)で、日本人の食事摂取基準(2015年版)における目安量(表1)とほぼ同じです。しかしながら生活習慣病予防の観点から見た目標量には、まだまだ不足しています。
一方、健康日本21(第2次)における野菜の摂取目標量は1日350gで、実際の摂取量約280gに対し、あと70gほど足りません。厚生労働省では、運動・食生活・禁煙に焦点をあてた「健康寿命を延ばそう!スマート・ライフ・プロジェクト」を推進し、1日に+70g(小皿1つ分多く)野菜を食べるように勧めています。さらに、世界に広がっている「ファイブ・ア・デイ運動」でも「1日に350g以上の野菜と200gの果物を食べましょう」をスローガンに掲げています。
米国では、野菜・果物・低脂肪の乳製品・魚・大豆製品・海藻を増やし、肉やコレステロールが多い食品を減らした、高カリウムで健康的なDASH食(DietaryApproachestoStopHypertension)が、高血圧改善に効果があると認められています。しかし、現在の日本の食生活では、残念ながら、野菜の摂取量を増やすと食塩の摂取量が増える傾向にあるので、味付けには十分注意しましょう。バランスを取るのは、とても難しいことです。