元気流儀インタビュー

現地で5日開幕したリオデジャネイロ五輪。連日熱戦を繰り広げる世界のトップ選手に注目が集まり、本県関係選手の活躍も期待されている。日系ブラジル人が多く住む大泉町でも南米初の五輪に町全体が盛り上がつている。五輪を記念して企画されたイベントには、ブラジルの空気を感じようと多くの観光客が訪れている。おもてなしの中心となっている町のサンバチーム「ウニドス・ダ・トカ」は、躍動感ある踊りと笑顔で多文化共生の町の魅力を伝えている。

ブラジルの国民食 豆と肉で夏に活力

熊本地震被災地支援のため、大泉まつり の会場で募金を集める池田ジョイスさん

心と体が解放される

―先月開かれた大泉まつりでは、ウニドス・ダ・トカのイト・ネイヤさん(37)と池田ジョイスさん(34)らが五輪開催を祝ってサンバを披露した。ダンサーに手を引かれて舞台に出てきた来場者は、恥ずかしそうな表情を浮かべていたが、体の奥底を揺さぶるような弾けるリズムに身を任せ、最後は笑顔で踊りを楽しんでいた。

一緒に踊ることで交流が生まれます。普段恥ずかしがり屋な日本人でも踊りを楽しむ気持ちを持っていると思います。サンバを踊ることはエアロビクスのような感じです。心と体が解放されるので、ストレスを発散するにもおすすめです。

互いを知るために

仲間ともよく一緒に食事をするという角田さん(中央)らウニドス・ダ・トカのメンバー

―ウニドス・ダ・トカは、日系ブラジル人でチームのマネージャーを務める角田ルミさん(46)が結成。主に祝いの席でサンバを踊り、日本人と南米系住民との文化の橋渡しをしている。東日本大震災の被災地での慰問活動や熊本地震の支援活動にも取り組み、各地で友好の輪を広げている。

角田さん私が来日した90年代は、ブラジル人も日本人も互いのことをよく知らず、行き違いが多くありました。文化の違いから強いホームシックになってしまう仲間がいたり、日本の住宅事情を知らずに夜遅くまで騒ぐ人もいました。日本人と交流を深めて、お互いのことをもっと知ろうとチームを結成しました。今は日本に長年住んでいるブラジル人も増え、新しく来日した外国人に生活のルールや母国との文化の違いを教えています。住民同士、いい関係を築けてきていると思います。

家族だんらん 大切に

濃厚な味がご飯とよく合うフェジョアーダ(左)と野菜をふんだんに使ったブラジル料理

―国土の9割超が熱帯地域に属するブラジル。特に北部は年間を通して最高気温が25~35度ほどで、日本の夏のように蒸し暑い。コーヒー農園で過酷な労働を強いられた黒人奴隷が考案したとされるフェジョアーダは、黒豆や豚足、ソーセージなどを一緒に煮込んだ料理でご飯にかけて食べるブラジルの国民食。高カロリーでコラーゲンも豊富。程よい塩気が汗をかいた体に染み渡る。ミネラルやタンパク質豊富な豆類を使うブラジル料理は、厳しい暑さの中で踊るウニドス・ダ・トカのメンバーの活力の源になっている。

角田さんフェジョアーダはブラジル人にとって、みそ汁のような料理です。ご飯とフェジョアーダがなければ、食事した気にならない人もいるくらいです。

―キリスト教徒が9割を占めるブラジルでは、安息日である日曜日を大切にしている。家族と一緒に過ごして一週間の疲れを癒す日だ。

角田さん日曜日は日本のお正月みたいにいろんな店が休んでしまうので行くところがない。みんなやることがないので、家族や親せきが来れば大歓迎。食卓での家族の会話が一番の楽しみです。

池田さん日本に来て変わったことは、仕事が忙しくて家族の時間が減ったことでした。それでも土日は家族や友達と一緒に食事をしています。日本人もゆっくり家族と過ごす時間をもっと大切にしてほしいと思います。

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