トマトと並ぶ収入源
毎年12トン余り出荷
桐生・みどり地城は県内有数のナスの産雄だ。栽培面積は約50ヘクタールに及び、同地域をエリアとする「JAにったみどり」のナスの販売額は、13億円以上になる。
高野さんが露地栽培をしているナス畑は、国史跡の岩宿遺跡から東に400メートルほどの田園地帯にある。「30アールの畑に、1500本の苗を植えました」。人の背丈を超えるまでに育った樹には、光沢のある紫色をしたナスがたわわに実る。
「8~9月が収穫の最盛期です」と話す高野さんは口元をほころばせた。
▲人の背丈ほどに育ったナス畑
10月下旬まで安定出荷
養蚤農家に生まれ育った。高校を卒業後、農業を継いだ高野さんは、トマトのハウス栽培をはじめ、さまざまな野菜作りに心血を注いできた。ナスを手掛けるようになったのは、20年ほど前から。
栽培品種は、収穫量が多く品質のよい「くろべえ」。春先、堆肥を中心に土作りを行い、5月に苗を定植。6月から10月まで長期間にわたって収穫ができる。
「価格が安定しているので、最近はナスを栽培する人が増えています」。脱サラのUターン組や定年退職後の就農組が手掛けるケースが目立つという。このため、JAにったみどりと桐生地区農業指導センクーでは露地ナスの新規栽培者を対象に、講習会や研修会を行っている。
栽培方法は、「V字仕立て」と呼ばれるV字に組んだパイプにナスの主枝を固定して伸ばし、果実の収穫と枝のせん定を繰り返していく方法が地域の主力となっている。
収穫や出荷に追われる
最盛期のこの時季は、毎朝5時に起床、畑に出て3時間たっぶり収穫作業に汗を流す。収穫したナスは自宅の作業場に運び込み、大きさによって仕分けをし、透明の袋に4-5個ずつ入れる。さらに、段ボール箱に20袋ずつ詰めてJAに出荷する。
強力な助っ人は、妻のきぬ子さん(63)や次女、そして2人のパート女性。「おかげで毎年12トン余り出荷しています」。
高野さんがナスと並んで力を入れているのがトマトだ。ハウス60アールにミニ、中玉、大玉合わせて8種類、苗木にして6500本を栽培している。「こちらは1月下旬から6月いっぱい収穫できます」と笑顔で話す。
カリフラワーやブロッコリーも栽培しており、10月から出荷が始まる。本来、ナスは11月まで出荷できるが、「ほかの作物と作業が重なるため、1カ月早く切り上げています」と苦笑する。自宅で野菜の直売も行っており、「おいしかった」という客の一言が一番の励みになるという。