介護を考える

負担重い 在宅介護
「特別養護老人ホーム」が サポート

軽費で長期入所可

寝たきりや認知症などにより、常に介護を必要とする高齢者を抱える家庭にとって、在宅介護の問題は重くのしかかります。特に家族全員が働きに出たり学校に通ったりしている家庭では、思うような介護ができず、高齢者の病状が進んだり、不慮の事故が発生したりする心配があります。こうした悩みや問題を解決してくれる強力な‘助っ人、が、「特別養護老人ホーム」です。

重度の介護を必要とする人を対象に、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護施設で、略して「特養」とも呼ばれています。少ない費用負担で長期入所できるのが特長です。ここで提供されるサービスは、主に入浴や食事、排せつの介護と、リハビリテーションやカウンセリングなどです。入所者にとっては「生活の場」でもあるため、介護職員による部屋の掃除や洗濯・買い物・レクリエーションといった生活援助等も行われます。

条件は要介護3以上

入所するには幾つかの条件があります。原則65歳以上で、「要介護3以上」の介護認定を受けている人となっています。ほかに、伝染病などの疾患がないこと、所在市町村の居住者など、施設によって条件はさまざまです。また、仮に条件をクリアしても、すぐに入所できるとは限りません。「有料老人ホーム」よりも利用料金が安く人気が高いため、入所待機者がたくさんいるからです。

しかし、最初から諦めてはいけません。施設スタッフや医師・行政担当者らで構成する入所審査委員会が、介護の必要性や待機期間、資産や収人額などから総合的に判断して優先度を決定しますので、申し込んでおくことが大切です。

イメージを払拭

移転リニューアルした特別養護老人ホーム「長寿荘」。室内は太陽の光で虹が出現
サービスステーションでは職員とのスキンシップが生まれる

社会福祉法人豊生会が運営する特別養護老人ホーム「長寿荘」(高崎市井野町)の施設長、島方孝晴さんは「家庭の中で高齢者を支える若い人たちが、介護のために離職しないようにしっかりサポートしていきたい」と力強く話しています。


三恵保育園の園児たちとの交流を楽しむ入所者たち

今月、移転に伴ってリニューアルした同施設の定員は、入所者70人、ショートステイ6人で、看護師や介護士ら職員46人がスキンシップを図りながら世話をしています。建物の2-3階の窓にはカラーテラスを設置し、太陽の光が当たると室内に虹が出現するよう工夫が施されました。「介護の暗いイメージを払拭[ふっしょく]し、職員が生き生きと働き、入所者には楽しく過ごしてもらえるよう願っています」と島方さん。隣接する建物には豊生会グループの三恵保育園とケアハウス「ラ・メゾン・アミカル」が入っており、3施設が互いに助け合う「和心」のシンボルマークも作りました。


ホームの運営を支える島方施設長(中央)らスタッフ

特養の入所者たちは、共有スペースの「サービスステーション」で食事やカラオケを楽しみ、保育園児とのさまざまな交流行事を通して、在宅では得られない施設での生活を満喫しています。

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