11月14日は世界糖尿病デー。世界に2億5千万人といわれている糖尿病患者は今後さらに増えると予測される。日本人にも多く糖尿病予備群を含めると60歳以上の3人に1人を占める。生活習慣の見直しなど、 自己管理して血糖値をコントロールすることが大切だ。県医師会副会長で渋川市渋川、川島内科クリニック 院長の川島崇さんは「自覚症状が出にくい病気。健康診断で早期発見し、放置しないで」と呼び掛ける。
糖尿病は
血糖管理が
大事
気付いた時には重症化
糖尿病は血糖値が高い状態が長く続く病気です。食事で摂取した炭水化物は消化管で糖に分解された後、大腸から血管へ取り込まれます。血中の糖は腎臓から分泌されるホルモン、インスリンによって全身の細胞に取り込まれ、エネルギーとして使われます。
しかし、何らかの理由でインスリンが不足すると糖が血液中にあふれてしまいます。放置すると血管が傷つき、やがて動脈硬化を引き起こします。全身の臓器にもエネルギーが十分に届けらず、認知症などさまざまな病気に影響します。
糖尿病になっても自覚症状が出にくいので本人は気付きません。のどが渇いたり、食べてもやせてきたり、尿に糖が出て泡立ったりするのは重症化してからです。ただし、怖いのは合併症で、途中失明の原因で知られる糖尿病網膜症、人工透析の原因で最も多い糖尿病腎症、痛みなどの感覚に気付かず下肢切断につながる糖尿病神経障害は三大合併症として知られています。動脈硬化が進むと脳卒中や心筋梗塞などの危険が増します。糖尿病は歯周病、認知症、がんなどと関係が深いことも分かっています。
太っている人に限らない
一般に糖尿病と呼ばれているのは生活習慣が関与する「2型糖尿病」です。太っている人に多いイメージがありますが、そうとは限りません。食べ過ぎてインスリンが不足するだけでなく、インスリンが分泌されにくい、効きが悪い、という場合もあります。
健康診断の血液検査で「空腹時血糖値」や1~2カ月前の血糖の状態を推定する「ヘモグロビンA1c[エーワンシー]」を測定するとおよその診断が付きます。
食事、運動、薬の3本柱で
治療の基本は、食事・運動療法と薬です。体を動かすと減量だけでなくインスリンの効きが良くなります。血糖値は一日の間でも大きく変動し、食事した後、最も高くなって次第に低くなります。食べ過ぎだけでなく、食後急に血糖値が上がらないよう「1日3食」を守って間食を避ける、食物繊維の多い野菜から食べる、食後すぐ横にならない、などを心掛けましょう。
高齢化が進み、今後さらに糖尿病が増えると推測されます。加齢とともに複数の疾患を抱える人が増える中、県糖尿病対策推進会議(会長・須藤英仁県医師会長)は今春から「群馬糖尿病地域連携ネット」の運用を開始し、「ぐんまちゃんの糖尿病支援手帳」も作成しました。持ち歩きできるカルテのようなもので、内科、眼科など複数の診療科で定期的な検査をする際にも役に立ちます。お薬手帳と併せて利用してください。