県産食材を食べよう!
今月は雪割茸
おいしい元気

うまみ成分や 栄養素が豊富

古くから秋の味覚として親しまれているキノコ。山に分け入り、採ってきた天然ものをロにする機会は少なくなったが、直売所やスーパーには農家が栽培したマイタケやシメジなどさまざまなキノコが並んでいる。ミネラルやビタミンB1などたくさんの栄養素やうまみ成分を含むキノコを上手に料理して、体内から疲労回復を図ってほしい。

雪割茸のわさぴしょうゆ和え

エネルギー 32kcal
たんぱく質 3.0g
脂質 0.5g
塩分相当量 0.6g
ビタミンB1 0.24mg
材料(1人分)
雪割茸100g、しょうゆ小さじ半分、わさび適宜
作り方
  1. 雪割茸を食べやすい長さに切る
  2. 耐熱容器に入れ、ラップをして電子レンジに3分かける
  3. しょうゆをかけ、わさびを添える
メモ
  • ポン酢やからししょうゆ、だししょうゆなどの味付けでもOK

雪割茸の天ぶら

エネルギー 50kcal
たんぱく質 1.7g
脂質 3.1g
塩分相当量 0.3g
ビタミンB1 0.12mg
材料(1人分)
雪割茸50g、天ぷら粉適宜、揚げ油適宜、塩少々
作り方
  1. 雪割茸を食べやすい大きさに裂く
  2. 天ぷら粉を水で溶き、衣をつけて揚げる
  3. 揚げたてに塩を振る
メモ
  • キノコの食感とうま味が感じられるよう、衣は薄くつけるのがポイント

*料理/月夜野きのこ園

食事は主食・主菜・副菜をそろえましょう

希少種の「雪割茸」
地元の名産品に

県産食材
キノコ栽培 みなかみ町
金子 靖行さん(23)

全国有数のキノコ県として知られる本県は、シイタケをはじめマイタケ、ナメコ、シメジなどさまざまな種類のキノコが栽培されている。かつては切り出したままの原木からキノコを発生させる「原木栽培」が主流だったが、近年はおがくずなどを培地とした「菌床栽培」が急速に普及している。

「好きなキノコの栽培と研究に携わることができて、毎日がとても充実しています」と話す金子さん。みなかみ町後閑にある「月夜野きのこ園」に入社して3年。希少種といわれる「雪割茸(ゆきわりたけ)」の栽培と安定出荷に向けて全力を注いでいる。

▲栽培室で収穫間近の「雪割茸」を手にする金子さん

菌と培地と環境が命

創業20年を迎えた月夜野きのこ園は、シイタケの菌床栽培を中心に、希少種キノコの生産と販売などを手掛けている。大泉高時代、バイオテクノロジーを学んだ金子さんはキノコに興味を持ち、県立農林大学校を経て同社に就職した。

入社直後から栽培を担当している雪割茸は、30年ほど前に富士山の麓で菌が発見された野生種。「地元の名産品を作りたいという一心で、6年前から栽培に取り組み始めました」と、金子崇範社長(41)は振り返る。

市場ではあまり目にすることがないこのキノコは、ブラウンエノキによく似ているが、全長は25センチと長身で、上部はクリーム色をしており、シャキシャキとした食惑と甘み、とろみの強いのが特色。「私たちはこのおいしいキノコをもっと世の中に広めたいと、日々研究を重ねています」と金子さん。

菌床作りから種植え、培養・生長期間を経て収穫を迎えるまで約2カ月。この間、栽培室では二酸化炭素の濃度や温度、湿度などの管理に神経を使う。「キノコ栽培は菌と培地とより良い環境づくりが命なのです」

安定収量が課題に

▲コンテナで出荷される「雪割茸」や「谷川茸」などのキノコ

生産量は季節によって異なる。秋冬は多いときで1日30キロ、夏場はその半分くらいという。希少性だけでなく、おいしさが人気を呼び、近隣の旅館や飲食店、都内のキノコ専門店、高級スーパーなどから注文が増えている。しかし、手作業が多く大量生産は難しく、「安定した収量の確保が今後の課題」と言う。

希少品種としてもう一つ栽培に取り組んでいるのが、同社オリジナルの「谷川茸(たにがわたけ)」。キノコ博士として知られる川合源四郎さんが、エリンギとバイリングを掛け合わせてできた品種を引き継ぎ、地元の名峰の名に改めて生産に力を入れている。

「谷川茸も手間がかかり大量生産はできませんが、エリンギより甘みが強くこくがあります。雪割茸とともに研究を重ね、食卓にお届けして多くの人に食べていただきたい」

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