自宅より安心で、
充実した生活
有料老人ホームの
個室入居者
幅広い入居の条件
「有料老人ホームってどんなところ?」一時折、こんな質問を受けることがあります。高齢化社会の中、認知度は高いように思われますが、意外と知らない人が多いようです。
高齢者の介護施設という部分では、前回紹介した特別養護老人ホーム(特養)と同じですが、主に民間企業によって運営されているため、社会福祉法人や地方自治体が運営する特養に比べて入居費用は高くなります。しかし、入居待ちの人が多い特養とは対照的に、空室があればすぐに入ることができます。
また、入居条件も大きく違います。特養は原則65歳以上で「要介護3以上」の介護認定を受けている人が対象ですが、有料老人ホームはおおむね60歳以上で、自立の人から要支援・要介護の人まで幅広く入居が可能です。さらに、個室を基本としており、プライバシーが守られています。施設によって入居費用やサービス内容はまちまちですが、中にはレストランなどホテルのような設備を備えているところもあるようです。
「介護付」など3タイプ
もっと詳しく見ると、有料老人ホームには「介護付」、「住宅型」、「健康型」の3つのタイプがあります。入居を希望する人は健康状態などを考えて、自分に合ったタイプを選ぶとよいでしょう。
「介護付」は食事をはじめ、入浴・排せつ・掃除など日常生活において介護サービスが提供される施設で、特養とよく似ています。手厚い介護を必要とする人に向いています。「住宅型」は基本的に食事サービスと日常的な生活支援だけで、介護が必要な人は自宅にいるときと同様に、外部の訪問介護サービスを利用することになります。ある程度元気な人向けで、受ける介護サービスを選択できるフレキシブルな点に人気があります。もう一つの「健康型」は、介護の必要がなく自立した生活ができる高齢者のための施設で、設置数は非常に少ないです。食事などのサービスは提供されますが、介護が必要になったら退去することになっています。
医療依存の人も安心
社会福祉法人和会(なごみかい)が運営する高齢者複合施設いせさき(伊勢崎市境上武士)には、「住宅型有料老人ホームいせさき」が設置されています。今年7月に開設したばかりですが、整備された30室(全室個室・トイレ付き)のうち10室が入居済みです。
施設長の木暮佳昌さんによると、入居は要支援・要介護認定を受けている人が対象で、入居者に対しては食事の提供や生活相談などを実施。さらに看護師が24時間体制で健康管理サービスや緊急時対応も行っており、医療依存の人も安心して入居できるそうです。
同施設には特養やデイサービスセンターなども併設されており、入居者たちは充実したスタッフのもとで生活援助やリハビリを受けたり、レクリエーションなどを楽しんだりして、充実した生活を送っています。「1人暮らしのため食事の準備が大変だとか、持病を抱えて発作が心配という人たちに、喜んで入居していただいております」と介護長の佐野久美子さん。施設の様子を知りたいという人のために、体験入居(1日~1週間)も行っています。