手指がこわばる痛みが走る、関節が太くなったり変形して指輪が入らない…。こうした症状が出て「もしかしてリウマチ?」など不安に感じることはありませんか。前橋市紅雲町鳥羽整形外科クリニック院長の鳥羽和之さんは「リウマチを心配して受診する患者さんの大半はリウマチではなく、使い過ぎなどが原因です。ただし、しびれがあったリ症状が長引く場合は放置せずに医療機関を受診してほしい」と話します。
手指のこわばりは
病気のサイン!?
関節を破壊するリウマチ
手指や手首の関節の痛みや腫れ、朝起きた時のこわばりなどの症状は関節リウマチの典型的な症状です。リウマチは自己免疫疾患の一つです。何らかの原因で免疫系に異常が起こり、自分の組織(体の一部)を異物とみなして攻撃する病気です。関節が破壊されると手指の変形が起こり、進行すると痛みや変形によって日常生活に支障を来します。最近はさまざまな薬が開発され、早期に適切な治療をすれば進行を抑えることもできるようになりました。関節リウマチの特徴的な症状を見逃さないことが大切です=図表参照。
大半は関節炎と腱鞘炎
リウマチを心配して受診する人はたくさんいますが、それほど多い疾患ではありません。痛みやこわばりの原因の大半は指の使い過ぎなどで起こる関節炎や腱鞘[けんしょう]炎です。一方、しびれの原因は神経の障害で、頸椎[けいつい](首)の病気が隠れていることもあります。気になる症状と疾患の主な原因を紹介します。
「手の指の第一関節が赤く腫れている。こぶのように一部が太い。変形している。痛くて強く握れない」
ヘバーデン結節と呼ばれる変形性関節症です。指の曲げ伸ばしの際に痛みが出たり、動きの制限があります。朝のこわばりはありません。40歳以上の女性に多く、原因は不明。テーピングで動かないよう固定したり、薬で痛みを和らげます。
「手の指の付け根が痛い、腫れている、熱を持っている。指が引っ掛かる」
指は腱によって曲げ伸ばしができます。この腱と、トンネルのように腱を囲む靭帯[じんたい]性腱鞘の間に炎症が起こった腱鞘炎で、使い過ぎが原因です。通過障害を起こすことから、ばね指(弾発指)と呼ばれます。安静にして湿布や注射で症状を抑えますが、改善しない場合は手術をします。
「親指側の手首が痛い、腫れている。親指を内側に入れて握りこぶしを作り、小指側に曲げると痛みを生じる」
親指の使い過ぎにより、2本の腱が通る手首の腱鞘(トンネル)部分に炎症が起こったドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)です。動かさないよう固定し、湿布をしたり注射で症状を抑えますが、改善しない場合は手術をします。
「人差し指と中指を中心にしびれ、痛みが出る。明け方に症状が強くなり、手を振ると楽になる」
正中神経という神経は、手首にある手根管(トンネル)の中を走っています。その神経がトンネル内で圧迫されて症状が出る手根管症候群で、多くは原因不明です。手を使い過ぎないようにし、飲み薬や注射で症状を抑えます。症状が強いときは手術が必要です。