元気プラン

寒い季節になりました。寒くなると人は自然と背中が丸くなリ、姿勢が悪くなります。また厚着をすることにより動きが制限され、肩こリや肩の痛みを生じます。今回は肩の構造や痛みの種類、肩の運動を紹介します。


予防と改善 「五十肩」

肩の構造

肩関節と一ロにいっても、その仕組みはとても複雑です。そこには肩甲骨・上腕骨・鎖骨など多くの骨があります。これらの骨が、肩甲上腕関節や肩鎖関節などそれぞれ関節を作っています。そして、これらの関節が協調して働くことで、人はあらゆる方向に肩を動かすことができるのです。では、骨や関節を動かしているのは何でしょうか。それは筋肉です。肩の周りにはたくさんの筋肉があります。主なものは、肩の前側にある肩甲下筋と、後ろ側にある棘上[きょうじょう]筋・棘下筋・小円筋という筋肉です。

肩痛の種類

日常生活や仕事中に起こりやすい、肩の痛みの種類や簡単な症状をいくつか紹介します。

腱板炎・腱板損傷
高い所の物を取るときやボールを投げるときに、肩の上がひっかかるように痛い。
後方腱板損傷
肩の後ろの方が痛い。肩を上げたときや回したときに肩の後ろが鈍く痛い。まただるさが残る。
五十肩(肩関節周囲炎)
肩を動かすと痛みがあり、肩が硬くて上がらない。
胸郭出口症候群
首筋から肩、腕にかけてだる<、腕を上げる動作をすると手にしびれが起こる。

この中から、皆さんにもよく知られている「五十肩(肩関節周囲炎)」についてお話します。

五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」といい、肩の痛みや動きの制限などの症状が起こる肩関節の病気です。30代~60代に発症し、名前のとおり50代に最も多く起こります。通常は、左右どちらか一方の肩に起こります。このように加齢に伴い、筋肉や腱などの柔軟性が失われ、スムーズに動かなくなると、肩関節を覆う関節包や肩甲骨と腱板の間にある滑液包などが傷つき、炎症が起こり、五十肩となります。特に、仕事やスポーツで腕や肩を酷使しがちな人は、腱板の断裂や磨耗を起こしやすい傾向があります。

発症から3~4カ月経過すると、痛みは徐々に改善に向かいますが、肩関節の拘縮はそのころから悪化していきます。その後、痛みがほぼなくなるとともに、腕も少しずつ動かせるようになります。半年から2年後には、残っていた拘縮も解消し、腕が元通りに動くようになります。

治療は段階ごとに異なります。初期(急性期)の段階では、消炎鎮痛薬の内服・ステロイド薬の注射・血行を良くするための温熱療法が中心になります。温熱療法は、ホットパックなどの用具を使う方法に加え、入浴や熱いシャワーを活用することもできます。

慢性期になると、痛みはかなり軽快しているため、肩関節の拘縮を解消するための運動療法(右記参照)中心の治療に移行します。

①左右側屈運動
頭上に両手を上げ、曲げる方の手首をつかむ。つかんでいる手首を軽く引っ張りながら、体を横に倒す。左右20秒ずつ
②水平拳上運動
ペットボトル(350ml)を両手に持ち、両肘を伸ばし、肩の高さまで上げ、ゆっくりおろす。10回×2セット
③振り子運動
椅子の横に立ち、痛みの無い方の手を背もたれにおき、体を倒す。痛みのある腕を下に垂らし、ゆっくり前後10往復を1日2セット。また、ゆっくり円を描くように回す。時計回り10回、反時計回り10回。最初は何も持たず、慣れてきたら350mlのペットボトルを使用しましょう。

運動を行う時は、痛みが出ない範囲で行い、無理をしないように注意してください。

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