五十肩(肩関節周囲炎)
五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」といい、肩の痛みや動きの制限などの症状が起こる肩関節の病気です。30代~60代に発症し、名前のとおり50代に最も多く起こります。通常は、左右どちらか一方の肩に起こります。このように加齢に伴い、筋肉や腱などの柔軟性が失われ、スムーズに動かなくなると、肩関節を覆う関節包や肩甲骨と腱板の間にある滑液包などが傷つき、炎症が起こり、五十肩となります。特に、仕事やスポーツで腕や肩を酷使しがちな人は、腱板の断裂や磨耗を起こしやすい傾向があります。
発症から3~4カ月経過すると、痛みは徐々に改善に向かいますが、肩関節の拘縮はそのころから悪化していきます。その後、痛みがほぼなくなるとともに、腕も少しずつ動かせるようになります。半年から2年後には、残っていた拘縮も解消し、腕が元通りに動くようになります。
治療は段階ごとに異なります。初期(急性期)の段階では、消炎鎮痛薬の内服・ステロイド薬の注射・血行を良くするための温熱療法が中心になります。温熱療法は、ホットパックなどの用具を使う方法に加え、入浴や熱いシャワーを活用することもできます。
慢性期になると、痛みはかなり軽快しているため、肩関節の拘縮を解消するための運動療法(右記参照)中心の治療に移行します。