自宅に代わる
新たな住まい
「サ高住」で
老後も安心
自由度の高い生活
サービス付き高齢者向け住宅、通称「サ高住」が、自宅に変わる新たな住まいとして注目され、利用者増に伴って急速に普及しています。
在宅介護サービスを受けながら何とか一人で生活しているが、体力的に限界を感じ、不安を募らせている高齢者は少なくありません。この中には、離れて暮らす子どもたちから施設への入所を勧められても、「自宅のような気ままな生活ができなくなる」などの理由で、尻込みしている人もいるようです。
「サ高住」は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームと違い、要介護度の低い人でも入居でき、比較的生活の自由度が高いのが特徴です。周囲の見守りはあるものの、あまり干渉されず、自宅の延長のような感覚で暮らしたいという人には、お勧めの施設と言えるでしょう。
安否確認のサービスも
公的な介護施設への入居待ちが社会問題として指摘されるなか、「サ高住」は2011年の「高齢者住まい法」の改正によって誕生しました。入居の条件は、一般に自立から要介護者までと幅広く、契約も原則としてアパートのように賃貸借方式となっています。入居の際は敷金・礼金がかかりますが、高額な一時金の支払いがないため、入居しやすいというメリットがあります。
施設は個室が基本で、入居者の「住まい」という考え方からバリアフリー仕様になっており、トイレや洗面設備も備えています。あたかもアパートかマンションの一室を借りるような印象ですが、大きく違うのは安否確認や生活相談サービスの提供が付いている点です。急に体調を崩すことがあっても、日中はケアの専門家が常駐しているので安心です。家賃とは別料金ですが、食事も付いているので、調理の心配もいりません。また、自宅にいるときと同様、介護サービスが必要な人は、介護保険を使って外部のサービスを利用することができます。
ホテルに似た雰囲気
前橋市城東町の「清流館城東」(五味義康館長)は、「住みなれた、この街で暮らしたい」をコンセプトに、12年8月にオープンした「サ高住」です。1階にデイサービスと居宅介護支援サービスセンターを併設し、2階と3階に要介護状態になっても安心して入居できる個室41、夫婦部屋2の計43室を設けています。
同館はおおむね60歳以上の要支援・介護者を受け入れており、個室と夫婦部屋それぞれ1室を除いてすべて入居済みです。入居者の平均年齢は87歳で、大半が市内で暮らしていた人たちです。
「生まれ育った土地を離れたくない、という高齢者はたくさんいます。そんな人たちをできる限り受け入れ、これまで通りの生活を継続できるよう最期までサポートするのが、私たちの務めだと思っています」と五味館長。
館内の1階は、フロント(受付)をはじめ、豪華なラウンジや広い廊下などによって、ホテルのような雰囲気に包まれています。「たまには着飾って館内を歩き、若さや元気を取り戻してほしい、といった願いを込めて雰囲気づくりを行っています」と、五味館長は笑顔で話しています。空室については、体験入居や見学を随時受け付けています。