良質の生乳を生産
栄養と衛生に注意
岩宿遺跡の東方に位置する住宅地に囲まれて、4棟の牛舎が建っている。2ヘクタールの牧場の入り口付近には、柵で囲まれた放牧場があり、牛たちがのんびりと牧草を食べている。
祖父の代から続く三輪牧場。3代目の三輪さんは現在、ホルスタイン種の乳牛100頭を飼養し、朝夕2回、経産牛50頭の搾乳を行っている。1頭あたりの搾乳量は多いもので1日50~60リットルで、毎日1600~1700リットルを出荷している。
「搾乳そのものは機械で行っているので苦になりませんが、前後の準備や片付けは手作業なので大変です」と三輪さん。搾乳後の牛は乳房炎に感染しやすいので、消毒には特に気を使うという。
乳質に大きな自信
三輪さんが家業を継いだのは、30歳のころ。北海道の酪農学園大学を卒業後、7年余り会社勤めをしながら搾乳や餌のトウモロコシ栽培などを手伝っていたが、「大学で学んだことをもっと実践で生かしたい」と、酪農に専念することを決意した。
飼養頭数を増やすなど規模拡大を目指すとともに、良質な生乳生産に全力投球。「当初は不安も大きかった」と話すが、努力が実って毎年、県生乳品質改善共励会で上位入賞し、関東共励会でも大活躍。平成27年度の全日本ホルスタイン共進会では6位入貸を果たした。「乳質は県内でもトップクラス」と、三輪さんは自信を深めている。
品質向上のために取り組んでいることは、牛の体を消潔に保つことや、搾乳機器の消毒や定期点検、牛床の石灰散布など基本事項の徹底と、日ごろの栄養管理。元気のない牛にはビタミン剤の投与なども行っている。また、感染症が怖いので、牛舎の衛生環境には特に注意を払っている。
夢は共進会で優勝
「動物相手なので、自由な時間を持てないのが悩みです」と苦笑する。父親を早く亡くし、今は母親と海外からの研修生の力を借りて、主に3人ですべての作業をこなしている。
朝夕各4時間の搾乳に加え、給餌や牛舎の清掃など作業はめじろ押し。さらに夏場は飼料用のトウモロコシや牧草の栽培も加わる。「家族サービスなどで月に1~2 回は、酪農ヘルパーに仕事をお願いして、休むようにしています」と話す。
共進会仲間と情報交換をして、優良な血統牛を導入するなど、乳牛の改良にも取り組んでいる。「夢は全国の共進会で優勝することです」と言う。もちろん、そうした努力を良質の生乳生産につなげたいとの思いが込められている。「多くの人にたくさんの牛乳を飲んでいただき、健康な身体をつくってほしいと願っています」