元気流儀インタビュー

文化を通じて郷土を復興しようと、終戦直後の1945年11月に結成した群馬交響楽団。「オーケストラをもっと身近に」を合言葉に移動音楽教室や定期演奏会など県内外で幅広い活動を展開し、音楽に親しむ場を提供している。コンサートマスターの伊藤文乃さんは、就任して今月で9年目となる。コンサートマスターは指揮者の要求を楽団員に伝え、個々の才能を引き出す大切な役割を担っており、集中力と体力が要求される。伊藤さんは日々の食事を気を付けることで体調を整え、素晴らしい演奏を届けている。

好きな手料理で 内からきれいに

言葉よりも音で

緊張感漂うコンサート前の チューニング。
基本でありながら コンサートの成否を分ける 大切な瞬間だ

―第1バイオリン奏者が務めることが多いコンサートマスターは、指揮者と楽団員との橋渡し役。指揮では示しきれない微妙なニュアンスをくみ取って、弓の上げ下げで他の楽団員に伝える重要な役割を担っている。各楽器のチューニングが終わり、演奏が始まるまでの瞬間がコンサートマスターの見せ場の一つだ。

オーボエにA[ラ]の音を出してもらってオーケストラ全体の音を合わせます。基本的な仕事なのですが、最も緊張する瞬間でもあります。コンサートが始まる前のピリッとした空気が、心を引き締めて演奏に集中させてくれる時間です。鑑賞する際にもぜひ感じてほしいです。コンサートマスターとして、指揮者の思いを大切にしたいと思っています。楽団員それぞれの才能を一つにまとめることは時に難しいこともあります。そんな時は言葉ではなく、音で示すようにしています。

無理のない運動を日常に

ハードな運動ではなく、 散歩など体に無理のない運動を 日常生活の中に取り入れている。
歩きながら見る街並みも またいい気分転換になっている

―広島交響楽団でコンサートマスターを務めた後、体調を崩して入院。1年間療養することになった。復帰後の2007年11月に大泉で開かれた音楽教室を経て、群馬交響楽団に入団した。

郡響とは昔から縁がありました。1980年に開かれた第1回草津国際音楽アカデミー&フェスティバルに参加した際、群響の楽団員の皆さんが最年少で当時小学6年生だった私に親しくしてくれて、その後も手紙などで交流を深めていました。私が入団した時も当時の楽団員が在籍されていて、とても感慨深かったです。

体調を崩した時、当初は2週間で退院する予定だったのですが1ヶ月入院しました。入院時は筋力が低下してしまいました。散歩など軽い運動で徐々に体力を取り戻して復帰しました。散歩は昔から好きで、自宅がある神奈川県藤沢市から鎌倉まで歩いたこともありました。今はそんなに長い距離を歩くことはありませんが、仕事に行く時など意識して歩くようにしています。コンサートは長時間、同じ姿勢になる上に、いい音を出すために踏ん張るため、足腰に負担が掛かります。演奏前や空き時間にはストレッチをして、体と心をほぐすようにしています。

地物と旬を味わう

魚介類の地中海風煮込み(上)とニンジンサラダ(左)、菜の花の柚子胡椒和え。 得意の手料理で添加物をできるだけ取らない食生活を目指している

―都内で生まれ育ち、現在は地元の藤沢と高崎を拠点に生活している。健康に気を付けている母の影響もあり、忙しい日々の中でも食事には気を付けている。

基本的にその土地のものや旬のものを食べるのが体にいいと思います。群馬は上州牛などおいしいお肉が多いですね。栄養が偏らないように肉と魚をバランスよく取るように心掛けています。藤沢は海が近いので、生シラスなど海産物をよく食べています。自宅近くの農産物直売所には鎌倉野菜やカボチャの一種「コリンキー」といった変わった野菜もあるので利用しています。下仁田ネギも見かけると買っています。

スイスに留学していた際、食文化の違いなどもあって少し太ってしまったので、ウエートコントロールに気を付けて10キロほどダイエットしました。炭水化物を取り過ぎないように1日2食にしています。健康情報に詳しい母の影響で、グルテンフリーの食生活にも挑戦しています。

料理が好きなので、時間のある時は手料理を作って、なるべく添加物を取らないように心掛けています。調理には、アマニ油やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を含んだ油を使っています。体調管理のため、病院で1年に一度、血液検査をしていますが、毎回いい結果が出ているので担当医から褒められています。コンサートマスターになって今年で9年目になりますが、何よりも健康でいることが一番だと感じています。今は将来に向けた体力づくりとして、水泳を始めようと思っています。

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