介護を考える

ふれあいの 居場所
誰もが気軽に参加し交流、 「互助精神」を育む場に

まちなか交流館スマイルの「居場所」で、おしゃべりを楽しむ利用者たち

高齢者を支えるために

高齢化が急速に進んでいます。昭和22~24年生まれの「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には、本県の高齢者数(65歳以上)は58万2,000人に上り、高齢化率は31%を超えると見込まれています。ほぼ3人に1人が高齢者という状況が、現実のものになりつつあります。

こうした中、いま県や各市町村で強く叫ばれているのは、高齢者を社会全体で支えるための「地域包括ケアシステム」の構築です。高齢者ができる限り住み慣れた地域で自立した生活を営めるように、「医療」「介護」「住まい」「生活支援」「介護予防」を切れ目なく提供するためのシステムです。

構築にあたっては、地域の実情に応じて住民の参加を得ながら、高齢者が自分の意思で、自分らしく暮らせる地域をつくることを目指しています。

見知らぬ人同士が交流

一昨年に玉村町でスタートした「ふれあいの居場所」づくりは、その効果的な活動として注目されています。

「居場所」とは、年齢や性別を問わず誰でも気軽に集い、自由な時間を過ごすことができる場所のことです。各地域の住民が主体となって身近なところに「居場所」をつくり、互いに趣味や特技、知識や経験を生かしながらさまざまな活動を行い、ふれあいを深めようというものです。

町には現在、15の「居場所」が設置されています。主に公民館や住民センターなどを拠点に、週1~5日間、お茶会や筋力トレーニング・合唱・ゲームなどを行っており、活動を通して見知らぬ人同士の交流や仲間の輪が広がっています。

人間関係が希薄になっている現代社会において、地域の人と人がつながる「居場所」は、互いの維や助け合いの精神を育む上に有効であると、町は考えています。住民が歩いて立ち寄れる距離にあることが理想であり、早い時期に「居場所」を現在の15カ所から35カ所に増やしたいとしています。

講師はボランティアで

居場所について話を聞く(左青木さん、右が寺門さん)

「ここに来る人は皆、おしゃべりをしたり、手芸やマージャンを楽しんだりしてストレスを解消し、元気になって帰って行きます」。町役場に近い「まちなか交流館スマイル」の一角を拠点に、昨年4月から活動している「居場所」の代表、青木稔さん(80)は、活動の様子をうれしそうに話してくれました。

利用者が作った見事な手芸作品

12畳ほどのスペースですが、大小のテーブルといすを置いて、常時十数人が集えるようになっています。棚やテーブルの上には、週1回の手芸の時間で、利用者が作ったクラフトバンドのバッグや雛人形・折り紙作品などが飾られ、室内に彩りを添えています。

週に5日間(月~金曜日)開設。曜日ごとに筋トレ・パソコン相談などの活動内容を決めていますが、参加したくない人は思い思いにのんびり過ごしています。


ボランティアでパソコン指導を行う斎藤さん(右)

運営に熱心な寺門やよひさん(68)は「もっと幅広い世代の人に利用してほしい」と願っています。また、ボランティアでパソコン相談の講師を務める斎藤寛行さん(35)は「人生経験の豊富な人たちばかりなので、逆に教わることも多く、いい社会勉強になります」と話していました。

介護や生活支援を必要とする高齢者や単身生活者が増える中、「居場所」を通して知り合った住民同士が、いざというときに互いに助け合える関係を築いてくれたら、といった期待が膨らんでいます。

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