介護を考える

在宅介護者を 支える核に
診療所を併設した サ高住

1階に診療所を併設した新しいタイプのサービス付き高齢者向け住宅

地域に愛される場所に

入院のできる診療所を併設したサービス付き高齢者向け住宅(通称・サ高住)が、県内に初めて誕生しました。前橋市元総社町に今月1日オープンした「メディカルレジデンスうしいけ」です。建物の1階に有床在宅療養支援診療所「うしいけホームクリニック」、2階と3階にサ高住を設け、医療と看護・介護の連携により、入居者や地域の高齢者に安心と安らぎを提供する態勢を整えています。

また、1階部分には地域交流スペースも併設し、近隣の人たちが気軽に立ち寄って入居者と談笑したり、くつろいだりできるよう開放しています。「いずれはここで医療講座を開いたり、ボランティアに運営を任せたりして、地域に愛される場所にしていきたい」と、施設関係者は話しています。

介護度高くても入居可能

ベッドのほか洗面所や トイレなどを備えたサ高住の個室

住みなれた地域で自立した生活を送ることができ、最期を迎えられたら、高齢者にとって本望といえるでしよう。しかし、それを実現するには医療・介護・生活支援などを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築が不可欠です。

「メディカルレジデンスうしいけ」は、同システムの要となり、高齢者が安心して暮らせる地域づくりのお役に立ちたい、と願う医療法人健英会(小中俊太郎理事長)によって開設されました。

一般にサ高住注は、特別養護老人ホームなどと違い、要介護度の低い人が入居の条件となっていますが、ここは胃ろうやがん末期・人工透析の人も入居することができます。1階に併設した診療所の医師4人が、必要に応じて対応してくれるからです。

総居室数は2階25、3階25の計50床です。いずれも個室ですが、夫婦部屋が2室あります。入院施設に加え、訪問看護ステーションも併設しているおかげで、入居者が急に医療や介護を必要としても安心です。もちろん、他の施設に転居する必要もありません。

管理者の田角真由美さんによると、入居者のベッド(マットレス)の下にバイタルセンサーモニターを設置しているので、急変時のタイミングをナースセンターでキャッチでき、素早い対応が可能だそうです。入居の際に敷金はなく、月々の利用料金も安価のため人気があり、空き室は少なくなっています。

医療と介護の連携を図る

診療所の中村院長(左)と サ高住の田角管理者

「うしいけホームクリニック」は、気軽に相談できる“地域の診療所”として、地域に密着したホームクリニックを目指して開設されました。診療科目は内科・整形外科・リハビリテーション科・神経内科・消化器内科・循環器内科の6科で、サ高住の入居者はもちろん、地域の人たちの診療を毎日、夜7時まで行い日中仕事をされている人が、診察を受けやすいようにしています。

高齢者医療を専門とする中村和己院長は「在宅医療を推進し、チーム医療による医療と介護の連携を図りたい」と意欲的です。病床数は19床で、CTスキャンや内視鏡・超音波エコー・心電図モニターなどさまざまな機器を備えています。

中村院長は、診療所の特色として①病院から早期退院した人に対し、在宅までの一時療養の入院対応を行う②退院後の訪問診療や往診を、併設の訪問看護・介護とともに行い、在宅生活を支える③ターミナルケアやレスパイト(一時預かり)入院の対応を行う④地域のプライマリケアも行うーなどを挙げています。


高齢者同士の交流や在宅介護への支援などが期待される 地域交流サロン「○(えん)むすび」

「○(えん)むすび」と名付けた地域交流サロンや診療所を核に、サ高住や地域に住む高齢者同士の交流が生まれ、在宅介護の輪が大きく広がることが期待されています。施設の見学を随時受け付けているので、希望者は問い合わせしてください。

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