野菜類は、意識して摂取しなければ十分に取ることができません。食事バランスガイドでは、副菜として1つが主材料の重量約70gを目安として、1日に5~6種類の野菜(350gを目安に)バランスよく摂取することを推奨しています。ここでいう副菜とは、主にビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源である野菜・羊・豆類(大豆を除く)・きのこ・海藻などを主材料とする料理を含みます。羊・豆類・きのこや海藻なども含まれますが、副菜として主となる野菜類は積極的に摂取しましょう。
執筆者略歴
たかはし・とうせい
東京農業大農学部栄養学科卒。東京女子医科大大学院修了。特定給食施設の現場で管理栄養士業務を経験した後、国立がんセンター研究所、東京農業大短期大学部講師を経て聖徳大准教授。2008年から現職。専門は公衆栄書学。医学博士。
意識して食べよう
この運動において「栄養・食生活」分野の目標には、適切な量と質の食事を取る者の増加として、「野菜と果物の摂取量の増加」の項目が挙げられています。平成22年年度には、野菜摂取量の平均値282g、果物摂取量100g未満の人の割合61.4%でした。そこで、平成34年度までに野菜摂取量の平均値350g、果物摂取量100g未満の人の割合30%という目標値が設定されました。そこで、野菜類の摂取について紹介します。
図1は、厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」の調査結果から野菜類の摂取量を男女別に平成15年より最新の平成27年までを示したものです。男性・女性とも全ての年齢階級の平均値を示しています。この図によると全ての年度において、野菜類は女性よりも男性の摂取量が多いことが分かります。一般に、女性の方が積極的に野菜類を摂取する傾向があると思われますが、単純に男性の方が全体の食べる量(総量)が多いことからこのような結果になっています。平成27年における総量に対する野菜類摂取量を見てみると、男性は12.1%ですが、女性では13.5%となっていることからもやはり女性の方が積極的に野菜類を摂取しています。
残念ながら男女とも300g程度の推移で、目標値である350gには達していません。あと1つ70g分の副菜を加えることで、目標値を達成できます。そこで厚生労働省では、自身の食生活を振り返り、いろいろな野菜を組み合わせて「毎日プラス1皿の野菜を実践しましよう!」という食生活改善普及運動を実施しています。
図2は野菜類摂取量の分布を年次比較したものです。
目標値である350g以上摂取している人の割合は、平成16年の25.3%(4人に1人)から平成18年の33.2%(3人に1人)となっています。一方で、目標量の半分より少ない人(70g未満と70g以上~140g未満を合わせた人)は、16.6~21.6%と5人に1人であることが分かります。
ランキング
最後に、冒頭の厚生労働省のHPより野菜の摂取量ランキングを紹介します。第3位はキャベツ(26.9g/日)、第2位はたまねぎ(31.6g/日)、第1位はだいこん(33.8g/日)です。実際に摂取していた人の多かった野菜のランキングでは、第3位だいこん(50.6%)、第2位たまねぎ(64.6%)、第1位はにんじん(77.3%)でした。
国民健康・栄養調査は、11月のある1日だけの調査です。また普段の習慣的な食生活の状況を反映しているわけではありませんし、野菜の摂取状況は、旬や天候・地域などにより異なる可能性があるため、このランキングにも注意が必要です。
生の野菜は「かさ」が多いので、そんなにたくさんは食べられないという人もいますが、おひたしや熱を加えるなどちよっとした工夫で食べやすくなります。また同じ野菜だからといって「漬け物を食べよう」は要注意です。本来は塩蔵することにより食品中の水分を少なくして、保存を目的とした「漬け物」ですが、塩分が多くなる傾向があるので、注意が必要です。