めまいが起こると「脳の病気かも」と心配する人もいますが、大半はメニエール病など耳からくるものです。一方、医療機関で検査をしても原因がよく分からないケースがあります。前橋市住吉町、竹越耳鼻咽喉科医院院長の竹越哲男さんは「めまいの検査をしても病気が見つからない場合、肩こりや低血圧、循環障害などが原因かも知れません。生活スタイルを見直したり、積極的に体を動かすことで改善する人もいます」と話します。そこで、最近増えている肩こり関連のめまいを紹介します。
そのめまい、
肩こりからきてる!?
3分の1は原因不明
めまいは、問診、眼球の動きを調べる眼振[がんしん]検査などの平衡検査、難聴や耳鳴りの有無などを調べる聴覚検査などで診断します。繰り返すめまいの主な原因は三つ。①疲れやストレスによる「メニエール病」②はがれた耳石[じせき]で起こる「良性発作性頭位めまい症」③動脈硬化による血流障害「椎骨[ついこつ]脳底動脈循環不全」―です=図表。ほかにも、低血圧で起立時や歩行中にふらふらするようなめまいが起こったり、目や脳神経障害、不整脈などの症状として出ることもあります。しかし実際は、検査をしても3分の1は原因が分かりません。
低血圧、循環障害を合併
最近は肩こりがめまいを誘発することが知られるようになり、女性を中心に増加しています。低血圧と循環障害を合併することが多く、①ふわふわ、ふらふらする非回転性のめまい(時に回転性も)②肩か首が凝る、または頭痛を伴う③20~60歳代の女性に多い④低血圧(立ちくらみやエレベーターが上昇する際のふらつき感)⑤(聴力検査で)両側低音部軽度低下⑥ストレスや疲れ⑦パソコン作業など長時間の座業⑧耳の閉塞感、耳鳴り、難聴⑨メニエール病など他の原因を否定できる―などの特徴があります。首の位置を動かすと症状が出やすい傾向があり、筋肉や交感神経の緊張と血流障害によって起こると考えられています。
まずは生活スタイルを見直して、長時間同じ姿勢を取らないよう体を小まめに動かしましよう。疲れやストレスをためないようにしたり、十分な睡眠を確保して健康的な生活を送ることも大切です。肩こりなどを改善する薬物療法もありますが、めまい自体が改善しない場合は漢方薬を使うことも一つの手段です。
転倒から寝たきりの危険
高齢になると平衡感覚が低下して転びやすくなります。繰り返すめまいを放置すると転倒による骨折や、家に閉じこもりがちになって体力が大きく低下するなど、寝たきりにつながりかねません。医療機関を受診するとともに、ラジオ体操を習慣付けるなど体を動かすよう心掛けてバランス機能を保ちましよう。