見守る家族に安心を
徘徊高齢者にGPS機器
認知症やその疑いのある高齢の行方不明者の増加が全国的な問題になっていますが、県内では減少しています。県警子ども・女性安全対策課によると、今年6月末時点で届け出を受けたのは81人。内訳は男性40人、女性41人。不明者数を減らしている要因として考えられるのが、自治体主導で進められている衛星利用測位システム(GPS)機器の活用です。県警は「届け出る前に発見できた例が多かった」と分析。現在、高崎市をはじめ県内18市町村が機器の貸し出しや購入費の補助を行っています。県警は、認知症や俳耐の恐れのある人の情報を同意の上で登録し、行方不明時にメール配信する仕組みを整え、全市町村と情報共有の協定を結んでいます。
高崎市は2015年10月から「はいかい高齢者救援システム」の運用を始め、靴やベルトに仕込んだり、巾着に入れる機器の無償貸与を始めました。介護認定の有無を問わず、市内在住で俳個の心配のある65歳以上の高齢者を対象に、今年6月末までに268件(実稼働件数)を貸与し、同システムを活用した発見保護は191件に上っています。
同システムを運営する一般社団法人「暮らし見守り振興センター」(通称・見守りセンター)は、365日24時間体制で対応。GPS機器の位置探知機能は、律徹回する高齢者らの位置情報を全国どこでも地図上で特定できる利点があり、所在不明になった時に家族や民生委員・介護関係者からの連絡を受けて同センターが位置情報などを家族らの携帯電話などに知らせて保護に役立ててもらいます。介護者が捜しにいけない場合は、代わりに同センターの職員や警察が保護しています。機器の充電は約2週間ですが、電池残量の低下も把握できるため、家族に充電するように通知するほか、週1回、詐欺や相続などの相談日も設けています。
市の広報を見て昨年から同システムを利用している桜井宏子さん(62)は「10年ほど前から昼夜の別なく律御回する母の介護で眠れなくなりました。センターの方が、一緒に捜して充電の連絡もしてくださる。一人じゃないと思うと安心して深く眠れる“命のお守り”です」と感謝し、「本人と介護する人を守るシステムをせひ利用して心身を休めてほしい」と呼び掛けていました。
富岡賢治高崎市長は「高齢者の孤立や孤独死を防ぐ「高齢者あんしん見守りシステム」がすでに稼働していたため、全国初の無償貸与の「はいかい高齢者救援システム」も実行できました。高齢者と子育ての安心安全が第一。今後も最大の課題として取り組んでいきます」と話しています。
高崎市は「徘徊する高齢者に関わる家族や関係者の介護負担の軽減につながっています。行方不明を防ぐ“お守り”として皆さんに知っていただけるようにPRに力を入れ、認知症状が軽い段階から気軽に活用してください」と呼び掛けています。認知症の周辺症状の一つである徘徊行動について困っている方は、決して一人で全てを抱え込まず、気軽に高崎市介護保険課介護サービス担当(027-321-1250)や各支所市民福祉課、お住まいの地域の高齢者あんしんセンターに相談してみてください。