シリーズ からだ元気

豆(大豆)は、米・麦・粟[あわ]・稗[ひえ]と並んで、古来より五穀の一つに数えられ日本の食生活の中心を担ってきました。春には、これらの五穀が豊かに実ることを祈願し、秋には“五穀豊穫”を感謝します。また、お正月(おせち料理)には「今年もまめ(豆)に暮らせますように」という願いを込めて煮豆や黒豆をいただき、節分には炒った大豆を食べて厄除けを行うなど、伝統的な食生活になくてはならないものです。

2013(平成25)年12月には、大豆の加工品を含めた「日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界から注目されています。


執筆者略歴 かさはら・よしこ
高知県立高知女子大学家政学科卒。徳島大学大学院修了。長年、管理栄養士・栄養士養成課程で教鞭をとる。桐生大学教授を経て2014年度から現職。専門は栄養教育。管理栄養士・保健学博士・日本コーチ協会メディカルコーチ。


元気な暮らしに役立つ栄養素のお話…笠原賀子 NPO法人ヘルス・コミュニケーションズ理事長 “畑の肉”で
健康な食生活
「大豆」

加工品

豆類には、タンパク質が多く含まれている枝豆や大豆と、糖質の多い小豆[あずき]があり、それぞれ用途が違います(表1)。大豆は、形の大・中・小、色の違い(黄色・白色・黒色・緑色)などによって、さまざまな種類があります。

日本では、黄色い大豆「黄大豆(キダイズ)」のことを主に「大豆」と呼んでいます。黄大豆はいろいろな食品に、青大豆は、きなこや煮豆、黒大豆は煮豆などに用いられます。他には、種皮の色が茶色や赤色の大豆、斑紋入りの大豆もあります。

枝豆は、大豆と収穫時期が異なる未熟豆のことで、ずんだは、それをすりつぶして作った緑色のペーストのことです。

大豆は、さまざまな食材や調味料に加工され、古くから利用されてきましたが、どのようなものがあるでしようか。お子さんやお孫さんと一緒に、図3のクロスワードを解いて、探してみましよう。

日本の食卓にかかせない「豆腐」は、国産大豆の用途別供給割合の大半を占めています(図1)。夏は冷ややっこ、冬は湯豆腐と、季節ごとに楽しめますね。

栄養と大豆パワー

大豆には、さまざまな栄養が含まれています(図2)。特に、たんばく質が多く含まれていることから、「畑の肉」とも言われます。人間にとって必要なアミノ酸がすべて含まれていますし、体の中で作り出すことができない必須アミノ酸も豊富に含まれています。特にリジンが多く含まれていて、ご飯と一緒に食べると栄養価が高まります。コレステロールや中性脂肪を抑える働きもあります。

さらに、大豆特有の栄養素や、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。

厚生労働省により、2013年から施行されている健康日本21(第2次)では、「栄養・食生活」の項目において、カルシウムに富む食品(牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜)の成人の1日当たりの平均摂取量の増加の目標値として、牛乳・乳製品130g、豆類100g、緑黄色野菜120g以上が設定されています。しかし、平成27年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)によれば、1人1日当たりの豆類の平均摂取量は、60.3g(男性62.3g、女性58.6g)ですから、図3の食品を参考にして、食材を選択し、料理法を工夫するなど、もっともっと食べる必要があるでしよう。

また、大豆は、米国国立がん研究所が発表した、がん予防に効果があるという「デザイナーズフーズ」(本誌2016年8月号)のなかにも、最も有効とされる8種類の食品の中にあげられています。残りの7種類は、にんにく・キャベツ・しょうが・にんじん・セロリ・甘草・バースニップです。

さあ、皆さん、大豆パワーで、健康な食生活を送りましよう!!

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