こだわりの土作り
ブランドは「豆王」
県内有数の枝豆の産地、沼田市。案内された木内さんの枝豆畑は、サクランボ農園とコンニャク畑に隣接する見晴らしの良い場所にあった。収穫期を迎えて、根元近くには青々とした豆のさやが、群がるように垂れ下がっている。
「6月に始まった収穫作業は、10月上旬まで続きます」と木内さん。毎日、甘みが凝縮される夜明け前に収穫し、すぐに予冷することで、新鮮で高品質の枝豆を出荷している。「朝が早いのが、少しつらいですね」と苦笑する。
▲畑で枝豆を収穫する木内さん
脱サラで農業継ぐ
大学を卒業後、IT関連企業に勤めていた木内さんは、35歳で実家の農業を継いだ。長男ということもあったが、それ以上に「直接、人に喜ばれる仕事をしたい」というのが一番の動機だった。
父親の重雄さん(82)のアドバイスを受けながら、枝豆一つに絞って徐々に栽培面積を拡大。現在は3haを手掛け、年間20t余りを生産している。
収穫後は機械によるもぎ取りに続き、選別、袋詰めと手作業が続く。「地域の雇用に役立てば」と、パート7人の応援を仰いでいる。
枝豆部会長に就任
昨年、JA利根沼田の枝豆部会長に就任し、会員70人とともにブランド品「豆王」のPRとさらなる品質向上に力を注いでいる。
「肥料を統一して、健康な土作りやミネラル、有機質肥料にこだわったおいしい枝豆です」と木内さんは胸を張る。茶豆系品種の「茶豆風味」と一般品種の「レギュラー」の2種類あり、どちらも出荷先の京浜地区で人気だという。「これからも消費者に喜ばれる枝豆を作っていきます」と力強く語った。
好評の「ドライえだまめ」
株式会社ネルフ
▲工房で「ドライえだまめ」作り
枝豆栽培は農家だけではない。社会福祉法人ゆずりは会が設立した株式会社ネルフでも、県内5カ所の障害福祉サービス事業所の利用者と職員が協力して、昨年から取り組んでいる。栽培面積は6ha。収穫した枝豆は生のまま出荷しているが、B級品については高崎市正観寺町にある同社の工房で乾燥機にかけ、袋詰めして「ドライえだまめ」として販売している。「カリカリとした食感とともに、へルシーなおやつやつまみにいいと好評です」と職業指導員の木暮吉明さんは話している。