教えて!ドクター

関節リウマチ(リウマチ)と聞くと、つらい痛みを伴う難治性の病気を連想する人も少なくありません。しかし21世紀に入って新薬が次々と登場。治療が大きく進歩して一気に予後を変えました。「関節の腫れ」という自覚症状を見逃さず、早期治療することで高い効果が期待できます。伊勢崎市鹿島町、伊勢崎福島病院の副院長でリウマチ科・整形外科が専門の竹内公彦さんは「高齢化とともに70、80歳代で発症する人も増えています。気になる症状があったら、自己判断しないで医療機関を受診してほしい」と呼び掛けます。


リウマチは “2年以内”の治療が鍵

免疫異常で滑膜に炎症

関節包を裏打ちしている滑膜[かつまく]は、関節液を分泌して関節の動きをスムーズにしています。滑膜に炎症が生じると滑膜がぶ厚くなり、次第に関節が腫れてきます。症状が進むと骨や軟骨が破壊され、強い痛みが出たり関節が変形して日常生活動作(ADL)が低下してしまいます。

体には外から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除する免疫機能が備わっています。何らかの原因で免疫の仕組みが乱れると、自分自身の体を異物とみなして攻撃することがあります。関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、免疫異常によって滑膜に慢性的な炎症が起こった状態です。

30~50歳代の女性に多い疾患ですが、最近は高齢になって発症する人もいます。遺伝要素にウイルスや細菌感染、ストレスなどが関与して発症すると考えられます。最近、喫煙と歯周病菌が危険因子であることが分かりました。

早期治療で症状消失も

2000年以降、免疫抑制剤や免疫調整剤などの「抗リウマチ薬」や、炎症によって発現するサイトカインをブロックする「生物学的製剤」が開発され、治療効果が劇的に向上しました。症状が消失する「寛解[かんかい]」も期待できます。ただし、関節破壊は発症から2年以内に起こるため、早く見つけて治療を始めることが肝心です。

治療の4本柱は薬物療法、手術、リハビリテーションとケア。無理のない範囲で関節を動かすことや、服薬により免疫力が抑制されるため肺炎やインフルエンザなどの感染症予防も治療を進める上で大切です。

関節の腫れ、放置しない

関節の腫れは手足や膝などに起こりますが、見つけやすいのは指です。心当たりがないのに2週間以上、指の付け根や第二関節が腫れていたら医療機関を受診しましょう。エックス線検査や血液検査、間診などで診断が付きます。一カ所だけでも放置しないことが早期治療につながります。また、長く患っていて薬が効かない場合も、人工関節などの手術をすることで痛みから解放され、ADLの向上が期待できます。諦めずに診してください。

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