目指せお米甲子園
毎年1500kgを収穫
利根沼田地方では、良質な水と昼夜の寒暖差という恵まれた自然環境を生かして、「雪ほたか」などに代表されるおいしいブランド米がたくさん作られている。
「お利根ちゃん~実にうんまい!~」もその一つ。学習の一環として米作りを指導している利根実業高校が、4年前に商標登録した。少し長い名前だが、校名を織り込み、ストレートにおいしさを表現した。
品種はコシヒカリで、同校食品文化コースの2・3年生が中心となって毎年栽培しており、全国農業高校お米甲子園で2年連続、金賞を受賞した実績を持つ。
小学生と合同稲刈り
10月初め、同コース3年生21人と、近くの升形小学校5年生32人が参加して、稲刈りが行われた。「今年はまずまずの出来です」と実習教員の佐藤和彦さんが、日焼けした顔をほころばせた。高校の北側に広がる32aの田んぼで、黄金色に染まった稲穂がこうべを垂れて風に揺れていた。
春の種粉まきから田植え、草取り、稲刈りまで、両校は交流しながら一緒に稲を育ててきた。この日は全員が5班に分かれて作業を開始。小学生たちは高校生から鎌の持ち方なとを教わり、手作業で稲の刈り取り方を体験。続いてコンバインを操作して、機械による農作業の簡素化やおいしい米作りの大変さなどを、身を持って学んだ。
食品文化コース部長の渡辺美優さんは「小学生との合同作業はとても楽しいです。卒業後は農業を支える仕事に就きたいと考えているので、今回の指導体験をいろいろな形で生かしていきたい」と力強く語った。
「戦国米セット」で販売
収穫した米は脱穀後、利根沼田地域の他のブランド米(5つ)とともに、地域ゆかりの戦国武将・真田氏にちなみ「戦国米セット」として販売される。
「お利根ちゃん」の収量は毎年1500kg余りに上るが、完売となる人気ぶり。おいしさの秘密は、低農薬やはざ掛け、竹炭使用など、手間ひまをかけた栽培法にあるという。「農薬は除草剤を1回使うだけです」と佐藤さん。さらに、刈り取った稲は1週間ほど天日干しするため、甘みやうまみが増すのだという。土壌に竹炭をすき込むことで、窒素の分解に役立っている。
「いろいろな作業を嫌がらずに取り組んでいる生徒たちの情熱も、おいしさにつながっていると思います」と野沢次男教諭。
渡辺さんは「お米甲子園で久しぶりに金賞を受賞したい」と目を輝かせる。そして、12月に升形小で開かれる収穫を祝う会で、小学生たちと交流しながら新米を味わうのを楽しみにしている。