第27回ぐんまマラソンが11月3日、前橋市の正田醤油スタジアム群馬をメイン会場に開かれる。フル(42.195キロ)、10キロ、リバーサイドジョギング(約4.2キロ)の3コースに約1万6000人がエントリーする。健康運動指導士の鈴木聡子さんは講師を務めるウオーキング・ジョギング教室の生徒らと参加する。「本来、走ることは楽しいこと」という鈴木さんは、けががなく健康的にマラソンを楽しめるように、入念な準備をして本番に備える。
正しい姿勢が
体幹を鍛える
ほろ苦い初マラソン
―マラソンは元々、興味があったわけではなかった。大学の授業のー環で走ったぐんま県民マラソン(現・ぐんまマラソン)が初めてのハーフマラソンだった。
記録はほぼ3時間。マラソンを知らず、明らかに準備不足でした。途中、泣きながらもなんとかゴールした私に、恩師の山西哲郎先生(現・群馬大名誉教授)が「よくたどりついたな」と声を掛けてくれたのが印象的でした。私が完走するとは誰も思っていなかったみたいでした。
―大学では大会や試合で好成績を残してきた同窓生も多かったが、競い合うよりも純粋にスポーツを楽しんできた自身の経験を役立てたいと、大学で知識を深めて健康運動指導士の資格を取得し、子持社会体育館(渋川市)などでインストラクターを始めた。
体を動かすことは楽しく気持ちのいいことです。記録や他の人と比較することではなく、自分の自然の力を気付く支えになろうと、社会教育の場で皆さんと一緒に体を動かす道を選びました。4年間ランニングやマラソンに参加することはなかったのですが、他の利用者が体育館で楽しそうに走る姿を見て、スイッチが切り替わりました。走り始めた2005年1月2日は、私にとって忘れられない日です。
「走る」は「出会う」
―山西哲郎さんが開いたランニングクラブを手伝いながら、指導者講習会に参加するなどしてランニングとウオーキングの指導法を学んだ。現在は専門学校などで講師を務めるほか、10年に立ち上げたSSD企画でウオーキングや生涯スポーツ教室を主催。スピードは競わずに参加者と交流しながら名所旧跡を走る「マラニック(マラソン+ピクニック)」の普及にも取り組んでいる。
「走ることは出会うこと」だと思います。ランニングを始めて異なる年代、職業の人たちと知り合うことができました。05年5月にオーストラリアのダーウィンで開かれたアラフラゲームスのハーフマラソンに参加しました。五輪を狙う選手や学生、市民スポーツ愛好家も一緒に参加できる環太平洋地域のオリンピックのような会でした。オーストラリアはスポーツが日本よりも生活の中に溶け込んでいて、結果よりも挑戦したことを評価して仲間として迎え入れてくれるところが印象的でした。
―地元でも海外の大会で感じたスポーツの楽しさを伝えようと、今年からウオーキング教室の生徒らとー緒にマラソンに出場している。4月に前橋・渋川シティマラソンで5キロのコースに挑戦し、全員完走を果たした。今年のぐんまマラソンでは学生から70代までの幅広い年代でリバーサイドジョギングを走る。
前橋・渋川シティマラソンに参加してくれた生徒の一人は最年長参加者として表彰されました。45分の制限時間内で、全員完走できたので良かったです。旅行に行く時のように、走ると気分が高揚して仲間との話が弾みます。一人黙々と走る場合でも自分との対話ができる貴重な時間だと思います。
日常の中に運動を
―ウオーキング教室ではじっくりと時間をかけてストレッチをしている。ゆっくりと大きく体を動かして筋肉に働きかける。そうして胴体の深くにある体幹を鍛えると、持久力が向上し、転倒などのけがの予防につながる。
日常生活では無意識のうちに同じ姿勢を続けてしまうので体の歪みが生じてしまいます。ストレッチをしたり、気付いた時に姿勢を正すだけでも変わってきます。体は動かしていないと衰えてしまうので、生活の中で筋肉を使うことを意識してほしいです。群馬は車社会なので、車ばかり使っていると運動不足になりがちです。「駐車場に車を止める時も離れた場所を使う」「階段があれば、1階分ぐらいでも上ってみる」といった小さな運動を積み重ねて、体づくりに役立ててほしいです。