オリーブオイルの
絞りたて味わって
旧尾島町の尾島中学校と上武道路の間に、青い実を付けたオリーブ畑が、南北に細長く広がっている。季節はずれの台風の影響で倒れかかった木もあるが、赤や紫に色付き始めた実が、収穫時期を迎えたことを告げている。
畑の持ち主は、オリーブオイルソムリエの山田茂さん。妻の千代子さん(68)や3人の従業員とともに、畑の管理や収穫、搾油などの作業をこなしている。
オリーブといえば、香川県の小豆島など温暖な地域のイメージが強いが、地球温暖化の影響もあって生産地は関東一円に広がり、内陸の本県でも栽培されるようになった。
「最初は半信半疑で植えてみました」と山田さん。12年前、オリーブの苗木を取り寄せ、試験的に36本を植えた当時を振り返る。
8haで3600本を栽培
父親が経営する造園会社に勤めていた山田さんは、平成8年に独立して「アグリみらい21」を設立。3年前に株式会社化して代表取締役を務めている。
独立当初はナス、トマト、キュウリなどの野菜やスイカの接木苗を栽培。その後、花き栽培にも手を広げ、夏はペチュニア、冬はパンジーやビオラなど30種類の草花を育てて、販売してきた。
しかし、単価に限界を感じていたころ、市場で良い値で取引されているオリーブに目が留まった。「健康志向の高まりからオイル需要が膨らんでおり、将来性があると思いました」。試験栽培で手ごたえを得た山田さんは、耕作放棄地を借りて、徐々に本数を増やしていった。
現在は8haの土地に農薬不使用で3600本を栽培している。昨年、400kgのオリーブの実を収穫することができた。この秋、台風による強風で落下などの被害を受けたが、今年も同程度の収穫量を見込んでいる。
収穫後はすぐに搾油
午前中に収穫した実は、素早くイタリアから購入した搾油機にかけて搾り、ろ過したものをビンに詰めて「エキストラバージンオリーブオイル」として直売、あるいは通信で販売している。
捧りたてのオイルは、ベたべたした感じがなくサラッとしていて、フレッシュな香りと味が楽しめる一として人気があり、問い合わせが増えている。
「そのままパンにつけたり、野菜や豆腐にかけたりして、おいしく召し上がれます」と千代子さん。搾油後にオイルが空気に触れたり光に当たったりすると、酸化して風味が落ちるので、素早く処理するよう神経を使っているという。
「オイルだけでなく、塩漬けや葉を使ったオリーブパウダー茶なども取り扱っているので、ぜひ味わってみてください」と山田さん夫妻は話している。