これから旬をむかえるシュンギクは、野菜の中でも栄養素がとても豊富です。シュンギクの濃厚な緑色・独特の香り・食感を大いに楽しんで、寒い冬を乗り切ってください。
シュンギクは東アジアで食べられており、旬は11月から3月です。葉と茎の部分を食用とし、各種ビタミン・カルシウム・葉緑素などが豊富に含まれています。濃厚な緑色と、独特の香りを生かして、すき焼きなど鍋料理や天ぷらのネタとして使われるほか、ゆでれば、あえ物・おひたし・ごまあえなど、生ではサラダにも使われます。立ち食いそば・うどん店では、シュンギクの天ぷらは特有の香りと食感が好まれ、定番メニューの1つになっています。
執筆者略歴
はやし・きよし
名古屋大学農学部農芸化学科を卒業後、農林省食品総合研究所研究員を経て、(独)農業・食品産業技術総合研究機構理事、食品総合研究所所長、2013年から東洋大学食環境科学部学部長健康栄養学科教授。専門は食品科学。日本応用糖質科学会学会賞(2011年)、文部科学大臣賞(2002年)、第59回注目発明受賞(2000年)。
ビタミン
シュンギクは、βカロテンを主体とするビタミンA(レチノール活性当量)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンE(α-トコフェロール)、ビタミンKを含んでいます(表3)。
ビタミンA(βカロテン)の含有量は野菜類の中ではトップクラスで、ホウレンソウやコマツナより多く、ゆでたものを100g食べればビタミンAの成人の推定平均必要量の7割(男性)から9割(女性)を摂取できます。豊富なビタミンA(βカロテン)には抗酸化作用があり、病気や老化原因となる活性酸素の発生を抑える作用、免疫力の向上、発がん抑制作用、眼球乾燥の予防、粘膜や肌の健康を保つ効果が期待できます。
骨にカルシウムを定着させるビタミンKも豊富なので、骨粗しょう症の予防にも有効です。また、ビタミンB群の葉酸も野菜の中では多い方です。葉酸は「造血のビタミン」と呼ばれ、ビタミンB12と協調し赤血球合成に関与するので貧血の改善効果が期待できます。かぜやがんの予防、シミやソバカスなどの肌のトラブル予防に効果があるビタミンC、がんや老化防止に有効なビタミンEなども豊富に含まれています。
また、シュンギクの緑色の色素成分であるクロロフィル(葉緑素)には、コレステロール値の低下、血栓の予防、発がん抑制などの効果があるといわれています。