夫と“二人三脚”で
常に高品質目指す
全国第5位の生産量を誇る本県のシュンギクは、県中部から東部の平たん地を中心に、露地やハウスで栽培されている。周年通して出荷が可能だが、旬は11~3月で、すき焼きや鍋料理の定番として親しまれている。
「いまは収穫と出荷のための袋詰めが日課になっています」と小島さん。疲れた様子も見せず作業に集中する。
ビニールハウス内には、高さ30cm余りに育ったシュンギクの緑の葉が、幅の広いレールのように2列になって、入り口から奥の方へと延びている。小島さんは茎の部分にはさみを入れ、葉先から23cmくらいの長さで切り取っていく。かごがいっぱいになると、夫の明広さん(71)が袋詰めの作業場まで運ぶ。役割分担がうまくできている。
3棟のハウスに6000本
小島さんがシュンギクの栽培を始めたのは、明広さんに嫁いで2、3年後のことで、既に40年近くになる。「周りのほとんどの農家がシュンギクを生産していたので、見よう見まねでやってみました」。親切な人がいて、いろいろアドバイスしてくれた。
「農業の経験はなかったが、実家が葉タバコを作っていて土に縁があったため、全く苦になりませんでした」と笑顔で振り返る。
栽培しているのは、葉に切れ込みのある中葉品種の「さとゆたか」。秋の露地栽培は、種を直播きで行っているので比較的楽だが、ハウス栽培では芽だしの後、苗を1本ずつ植え付けするので手間がかかるという。3棟のハウスで育てたシュンギクは、合わせて6000本以上になる。
「株ごと収穫せず、伸びた脇芽を順次切り取っていくので、1株で4回くらいは収穫できます」と小島さん。朝から午前中いっぱい、収穫と袋詰め作業行い、段ボール箱に入れて明広さんが地元JAに出荷する。
露地は病害虫に注意
「シュンギクの栽培は、それほど難しくありません」と話すが、露地栽培の場合、油断すると病害虫にやられる危険性がある。かつてべと病や炭そ病に感染し、全滅になった苦い経験がある。それでも「農業は楽しいし、努力が目に見えて実を結ぶので、やりがいがあります」と目を輝かせる。
3月にシュンギクが終わるとインゲン、夏場は最も力を入れているナスの露地栽培、そしてホウレンソウと、切れ目なく続く。ナスは自分で接ぎ木をした苗を育てる本格派。研究熱心な性格が向上心を奮い立たせ、高品質につながっている。
「シュンギクは栄養価が高いので、たくさん食べてほしい」と小島さん夫妻。調理法はいろいろだが、天ぷらが一番好きだという。