認知症予防は
楽しく運動で
65歳以上の15%
現在、日本は65歳以上の高齢者が、人口の25%を超え、約4人に1人が高齢者という超高齢化社会です。その中でも、65歳以上の高齢者の約15% (約460万人以上)が認知症であるといわれており、さらに、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる人は、約400万人以上と推定されます。将来的には、認知症予備軍は増加するといわれ、認知症の予防が社会全体での急務になっています。
MCIの人は、年間約10%の人が認知症へと進行して改善が難しくなる半面、症状が軽度であれば予防により、31~44% の人が症状の回復が見込める可能性があり、早期からの認知機能の維持・向上への取り組みが重要です。
ながら作業
身体活動・認知活動を向上させるために「デュアルタスク」の活用が有効といわれています。デュアルタスクとは、2つの物事を同時に行う「ながら作業」のことを指します。ながら作業は、頭を使いながら身体を動かすため、脳の血流量を上げることができ、脳の活性化につながります。また、運動や思考の管理をつかさどる「脳の司令塔」とされる「前頭葉」を特に剌激することができます。
MCI期に最も低下しやすい認知機能は、「エピソード記憶(記憶力)」「注意分割機能(注意カ)」「状況整理能力(計画力) 」などです。この脳の役割を、脳トレ(認知課題)により剌激し、同時に身体を使いながら作業を行うことで、脳の若返りをH指します。
デュアルタスクトレーニング
「5つのコツ」
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連動課題と認知課題を同時に行う事が大切なので、どちらかがおろそかにならないように行う。
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間違えてしまうことも刺激につながるので、積極的に行う。
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慣れてきたら、徐々にレベルアップして行う(たまに間違える程度のレベルがオススメ) 。
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1回10~15分程度の短時間でも良いので、毎日繰り返し行う。
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水分補給や軽いストレッチなど、休息を入れながら行う。
●1人でもできるお薦めの認知症予防運動
「エピソード記憶(記憶力)」向上運動
【マイナス計算スクワット】
頭の中で計算をしながら、スクワットを行う。例)100からスタートし、1回スクワットを行うごとに3を引いていく。レベルアップ→引いていく数字を変える(奇数の方が難しい) 。スクワットからトレーニングを変える。ウォーキングでもOK。
「注意力分割機能(注意力)」向上運動
【入れ替えジャンケン】
腕を前後に動かしながら、手をジャンケンの形にし、リズムに合わせて入れ替えを行う。例)必ず前の手はパーに、自分の近くの手はグーにし、リズム良く左右を入れ替えます。レベルアップ→前後を変えて行う(前はグー、近くはパーなど)。組み合わせを変えて行う(チョキとパーで行うなど)。ジャンケンで使用しない形(1・3・4など)にし、足踏みをしながら行う。
「状況整理能力(計画力)」向上運動
【足踏みタッチ】
足踏みをしながら、決まった数字の時に体をタッチする。例)足踏みをする中で3の倍数の時に頭をタッチする。レベルアップ→数字の課題を増やし(5の倍数で手拍子など)、タッチの動作を変えて行う。
「何々をしながら」が、デュアルタクストレーニングのポイントです。今回は1人でも行える運動を紹介しましたが、家族や友人らと一緒にコミュニケーションを取りながら行うことも、脳の活性化につながります。ぜひチャレンジしてください。