元気流儀インタビュー

日本の伝統ある文化の一つ「日本酒」の魅力を国内外に伝えるミス日本酒。2017年のミス日本酒群馬代表、結城瞳ジーナさんは群馬大教授の母の影響で、幼い頃から本県でボランティアや地域活性化活動に取り組んできた。インターンシップで昨年、川場村の蔵元を訪れ、新酒の仕込みを手伝った。蔵人の酒造りへの思いにも触れ、高い品質の本県の地酒のおいしさを広めようと活動している。


健康と美容に 酒の力生かして

県内の地酒を取りそろえた高橋与商店(前橋市)で県酒造組合副会長で大利根酒造社長の阿部倫典さん(左)と日本酒談義に花を咲かせる結城さん。 1年間の活動では県内の蔵元を巡り、知識を深めた

蔵元の思い感じる

─農林水産省によると、ピーク時には170万klあった日本酒の国内出荷量は、60万klを割り込む水準まで減少している。しかし、吟醸酒や純米酒、本醸造酒といった特定名称酒は根強い人気があり、消費者の志向は量より質を求めるようになってきているという。近年は人気銘柄を中心にブームが起こり、日本酒を好む若者が増えつつある。結城さんもその魅力を再発見した若者の一人だ。

埼玉県に住んでいるのですが、小さいころから母に連れられてよく群馬に来ていました。20歳の誕生日に初めて飲んだ日本酒も川場村の蔵元が造ったスパークリングの日本酒でした。すっきりとした味わいで、蔵元の酒造りへの思いを感じました。この感動と群馬の蔵元を多くの人にも知ってもらいたいと思ったのが、ミス日本酒群馬代表を目指したきっかけです。

物語を味わって

昨年10月に、都内の「ぐんまちゃん家」で開かれた「群馬の地酒フェア」で来場者に日本酒を勧める結城さん(左)

─1年間のミス日本酒群馬代表の活動では、県内外のPRイベントに参加。県内酒造メーカーの酒をアピールするとともに酒造りの思いや苦労を学んだ。

この1年間は普段ではお会いできないような蔵元の皆さまにお話しできて勉強になりました。川場村の蔵元で昨年9月に新酒の仕込みを手伝わせてもらいました。杜氏の皆さまの酒造りの思いを知りました。県内の各蔵元には時代を重ねて紡いできた物語があります。歴史を学ぶことでより日本酒の味に深みを感じるようになりました。イベントで外国の皆さまにも日本酒をPRする機会がありました。蔵元で聞いた歴史を合わせて紹介すると、より日本酒に興味を持ってもらえたようでした。最近は諸外国でも日本酒は人気です。中国やベトナムといったコメの食文化のある国の人にとって、日本酒の香りは親しみやすいようです。

美容も日本酒で

─発酵食品である日本酒には発酵の工程で酵素によってコメのタンパク質が分解されてできたアミノ酸などの多くの栄養素が含まれている。日本酒造組合中央会では「日本酒に含まれた豊富なアミノ酸が肌をしっとりさせて、つやとしなやかさを与える」と紹介。日本酒を原料に使った化粧品も多い。

実際に杜氏の皆さんに会って、肌がきれいなことに驚きました。ミス日本酒群馬代表になって、「日本酒できれいになりたい」と日本酒を配合した化粧水などさまざまな商品を試しました。寒い季節は入浴用の日本酒がお薦めです。お風呂に入れるととてもリラックスできる上に血行が良くなり、入浴後も潤いが保てます。

─美容にいい日本酒も飲み過ぎは禁物。アルコールを控えたい人や未成年者は、酒かすを使った料理や甘酒で日本酒の香りが楽しめる。

コメが原料の日本酒は日本の食文化に合ったお酒です。酒かすはいろいろな形で活用できます。私はケーキの生地に練り込んだり、手軽にできるかす汁をよく作っています。イベントではアルコールが飲めない人や子ども向けに甘酒を用意することもありました。日本酒の文化や伝統を絶やすことなく、次の世代に伝えることが大切だと感じています。

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