女性の一生寄り添う

助産師 石井 友理さん

利根沼田地域の中核病院である利根中央病院(沼田市沼須町)は、持病や高齢といったリスクを伴う妊婦を積極的に受け入れている。助産師を務める石井友理さん(31)は産婦人科や小児科の医師らと連携し、妊婦が安心して出産に臨める環境づくりに力を入れる。助産師の役割は幅広く、分娩のサポートから妊娠中の健康管理、産後の母乳指導まで及ぶ。出産時以外にも、思春期や更年期など女性の一生に寄り添い、さまざまな不調と向き合っている。

マタニティーヨガを指導する石井さん。ヨガは出産時に傷つきやすい骨盤底筋を鍛える効果があるという

人生の節目に立ち会う喜び

看護師として産婦人科に配属となり、専門知識を深めようと助産師を目指した。妊娠出産の大変さは経験して初めて分かることも多い。長女(3)の出産を経て、妊娠時の不安や子育ての悩みに実感を持って答えられるようになった。出産は女性と家族の生活を大きく変えるライフイベント。その瞬間に立ち会えることが、仕事のやりがいになっている。

最近は出産年齢が高くなり、妊娠高血圧症候群や妊婦糖尿病が懸念されるケースが増えている。異常があれば早期に発見し、産婦人科と小児科が連携して、合併症などリスクが高い出産を支える体制を整えている。退院後も母乳外来などで相談に乗り、不安を抱える人には保健師を紹介して孤立化を防いでいる。

不正出血や腹痛 病気のサイン

助産師は分娩を補助するイメージが強いが、思春期の性教育や更年期障害といった妊娠出産以外の分野にも関わっている。子宮頸がんや子宮内膜症といった子宮の病気は幅広い年代で起こり得る。若い女性、特に中高生とその保護者は、生理不順などのトラブルがあっても産婦人科の受診に二の足を踏む人が多い。助産師も相談に乗るので、正しい知識と受診の大切さを知ってほしい。

定期的に子宮頸がんの検診を受けていても、子宮や卵巣の病気は発見が遅れることもある。不正出血や腹痛といった不調のサインを見過ごさず、専門家の判断を仰いでほしい。

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