回復へ共に頑張る

理学療法士 新井のぞみさん

病気やけがなどによって運動機能が低下すると、起き上がりや歩行といった基本動作ですら困難になる場合がある。理学療法士は運動療法や物理療法などを組み合わせ、基本動作の回復や維持、障害の悪化を予防するリハビリの専門家。高崎総合医療センター(高崎市高松町)で働く新井のぞみさん(35)は「運動で鍛えた筋力は病気やけがからの回復を支える。毎日意識して運動する“貯筋”で万が一に備えてほしい」と呼び掛ける。

「リハビリは一緒に頑張ること。明るい声掛けが大切」 という新井さん(右)

白衣の母に憧れダンサーから転身

ダンサーとして活動していた22歳の時、肺から空気が漏れて胸腔にたまる気胸になった。病気をきっかけに将来を見つめ直し、白衣を着て働く薬剤師の母に憧れていた小さい頃を思い出した。母からのアドバイスもあり、歩いたり体を動かすことが好きな自分に合っている理学療法士を目指すことにした。一から勉強し直して資格を取得。2010年から高崎総合医療センターで働いている。

痛みを伴うこともあるリハビリを諦めず続けてもらうためには、患者さんとの信頼関係の構築が大切。一緒に頑張るというスタンスで患者さんと向き合っている。特に会話が重要で、病室の様子だけでは分からないわずかな変化に気付くこともある。毎日、長い時間接している分、患者さんと医師や医療スタッフをつなぐ相談窓口になることもある。

万が一の入院に歩く習慣つけて

脳梗塞や心筋梗塞、交通事故などで外傷を負った人などさまざまな症状や障害を負った患者さんのリハビリを担当しているので学ぶことは多い。

転倒して足や腰を骨折した高齢者が入院生活の中で衰弱して食べられなくなったり、肺炎になったりして亡くなることもある。普段から体を動かしている人は、入院生活でも体力を維持できるようだ。散歩などの軽い運動でもいい。元気な時に筋力を貯めておく“貯筋”を意識してほしい。本県では車で移動する人が多い。買い物では少し遠くに駐車するなど、歩く習慣をつけてほしい。

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