患者と医師つなぐ
医師事務作業補助者
高島 尚人さん
午前は診察、午後は手術、夕方から書類作成と、医師の仕事は想像を絶する重労働だ。こうした医師の負担を軽減しようと、国内では10年ほど前から始まった新しい職種が、書類作成などを行う「医師事務作業補助者」だ。高崎市中尾町の日高病院に勤務する高島尚人さん(27)は、この新しい仕事にチャレンジしている。間もなく長子が誕生する若者は「患者と医師をつなぎ、医師に診察や手術に専念してもらいたい」と、縁の下の力持ちに徹している。
書類作成を代行し
医師の負担軽減目指す
大学3年で就職先を探している時に、医師事務作業補助者を初めて知った。大学は商学部で医療知識は全く無く、不安だった。最初の年は受け付けで病院の仕事全体を学んだ。1年後に職場の異動で研修を受け、医師事務作業補助者になった。実情に制度が追いついておらず、現状では国家資格ではない。
主な仕事はこれまで医師が行っていた書類作成の代行だ。生命保険会社への入院・通院証明書や、死亡診断書、訪問看護指示書、介護保険主治医意見書など多岐にわたる。こういった文書を作成し、医師に内容確認してもらって仕上げていく。また、退院する患者の退院要約を作成するのも重要。病状や治療、薬などをまとめておけば、再び来院したり、他の病院にかかっても引き継ぎがうまくいく。
コミュニケーション密に
息を合わせていく
どこまでを医師事務作業補助者に任せるかは、医師によって違いがある。まずは医師とのコミュニケーションを密にして、息を合わせていく。診療に立ち会い、医師の言葉をリアルタイムにパソコンに打ち込んで書類作成の準備をする。最近では「この先生ならこんな診断をするだろう」と予測ができるようになってきた。
患者から医師が「きょうの診察は早かったね」と言われているのを聞くのがささやかな喜び。報われた気持ちになる。