障害者の
就労を支援
―駅西口に
「ワークフォー高崎」―
医療法人原会が運営する就労移行支援事業所「ワークフォー高崎」が、昨年12月1日、JR高崎駅西口にオープンした。障害者福祉施設のイメージを一新するガラス張りの開放的なフロアが特徴で、オープンな環境で就労意欲のある障害者の就労支援を行っている。駅から徒歩1分という利便性に加え、訓練のための幅広いプログラムや支援システムを用意しており、早くも就労への成果に期待が高まっている。
明るく斬新なデザイン
高崎駅西口のぺデストリアンデッキを歩いて1分。複合ビル「ラ・メルセ」2階に「ワークフォー高崎」の事業所がある。すべてガラス張りなので、通路から内部がよく見える。原会法人本部の斎藤良昭在宅・障害福祉統括長は「立ち寄ってみたい、何かが起こるのでは?といった期待感を抱けるような空間づくりを目指しました」と話す。
室内には、さまざまな形の机やソファなどがランダムに置かれている。「実は川の流れのように、ゆるやかに移動できるよう配置を工夫しました」と斎藤統括長。窓際に立つと、駅ビルや駅前商店街、道路を歩く人の姿などが一望できる。障害者福祉施設のイメージを一新するような明るく斬新なデザインに、事業所内は開放感に満ちている。
落ち着いた環境づくり
事業所の利用は、企業への就労を希望する精神・知的障害を持つ65歳未満の人が対象。定員は20人で、看護師を含む6人のスタッフが支援などにあたっている。
運営の中核である原病院は、精神科を母体にした医療施設であり、障害者に対応するさまざまなノウハウをもっている。事業所を開設する際、施設の環境面や職業プログラムの作成などに、これまで蓄積された実績や経験が十分に生かされた。
「意欲があってもなかなか環境に溶け込めない人がいます。徐々に慣れてもらい、本人の力を引き出せるように話しかけ、就職先の希望を聞きだすように努めています」と斎藤統括長は穏やかに語る。
活動のエネルギー源として、無料で提供する昼食にもこだわり、食欲がわくようなメニューや彩りに工夫を凝らす。また、相談者と心を開き、リラックスして話ができるようにと、ソファを用意したり、コーヒーを飲み放題にしたりして、落ち着いた雰囲気づくりを演出している。
VRで就業現場を再現
プログラムの最大の特徴は、就職後に違和感なく仕事が続けられるように、提携企業の具体的な仕事内容を可能な限り再現する訓練内容であることだ。
斎藤統括長によると、就職先として介護福祉や服装関連、清掃業など24社の企業と提携しており、専門職のノウハウから作られた54のプログラムを用意。利用者は登録者専用のスマホアプリで、自分に合ったプログラムを自由に選択でき、訓練結果などプログラムの進捗状況を常に把握できるようになっている。
訓練では①就業先をイメージしたトレーニング②就業現場をVR(バーチャル・リアリティー)で再現③ソーシャル・スキル・トレーニング―などがある。せっかく就職しても、考えていた仕事内容と少し違ったり、職場環境になじめなかったりして辞めてしまうケースがある。それを防ぐためにも、事業所内での作業体験や、VRによって職場の雰囲気を体験しておくことが重要になる。「VRを使ったリアルな体験は、画期的な方法だと思います」と斎藤統括長は効果を期待する。
現在、利用者を募集中で、希望に応じて県内全域の無料送迎サービスも行っている。また、相談支援事業所「クローバー高崎」を併設しており、「バックアップ体制も完備しているので安心です」と話している。