腹筋を意識
身体引き締め
指導
健康運動指導士
桑原 順一さん
日本健康運動指導士会
群馬支部
クリスマス時期やお正月を過ぎて、「下腹ポッコリを引き締めたい」と考えている方は多いでしょう。ウオーキングなどの有酸素運動は大切ですが、おなか周りの「引き締め効果」を上げるためには、腹筋を意識した筋力トレーニングが必要です。
腹筋の種類(四つの筋肉)
- ①「腹直筋」
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おなかの前面中央部にある筋肉で、アウターマッスル(表層筋)です。「シックス・パック」と呼ばれ、鍛えると板チョコのように割れてくる筋肉で、身体(体幹)を屈曲(折り曲げる)したり、側屈(横に傾ける)を補助する作用があります。
- ②「腹横筋」
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「腹横筋」はおなかの筋肉の中でいちばん深部にあるインナーマッスル(深層筋)です。内臓器官を守るように覆い、「腹腔内圧」を高めることで内臓を正しい位置に安定させ、ウエストを引き締める働きをします。
- ③「内腹斜筋」 ④「外腹斜筋」
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「腹横筋」の外側には「内腹斜筋」と「外腹斜筋」という二つの筋肉があります。どちらも脇腹にあり、内側に「内腹斜筋」、外側に「外腹斜筋」があります。身体(体幹)を屈曲・側屈・回旋させる(ねじる)作用や姿勢保持などの働きをするアウターマッスルです。
「腹斜筋」は、脇腹を斜めに走っている筋肉で、内側の「内腹斜筋」は、骨盤を安定させて「腹横筋」と同じように内臓や脂肪が下がらないようにする役割もしています。「外腹斜筋」は脇腹を引き締めていることから「コルセット」に例えられたりもします。胸郭を引き下げる働きもあるので息を吐く動作にも関与します。
筋力低下と内臓下垂
下腹部はもともと内臓を保護する骨がないため、内臓を守るクッションとなる脂肪が付きやすく落ちづらくなっているといわれています。そのため、おなか周りの筋力低下が起こることで、おなかの引き締め効果が減少し「下腹ポッコリ」になってしまうことがあるのです。
おなか周りの筋力を活性化してあげると、より脂肪も燃えやすくなる効果も期待できます。なかなか意識して動かしにくい筋肉ですが、しっかりと使っていくことがとても大切です。
おなかサンドイッチ・トレーニング
- ❶寝たまま腰ダンス
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あおむけの状態で膝を立てて、ゆっくりとフラダンスのように腰を左右に動かします。両手をおなかに置き、息を吐きながら大きく動かしてみましょう。特に「腹横筋」と「腹斜筋」に効果的です。
- ❷自転車こぎ(クランチ)
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あおむけの状態で、ゆっくりと自転車こぎの動作をします。両手をおなかに置き、自転車こぎのイメージで「フッ、フッ」と息を吐きながら動かしてみましょう。「腹筋」全体に効果的です。上級者はカーブを曲がるイメージで両足を少しだけ左右に傾けてみるのもおすすめです。「腹斜筋」への強度が増加します。あまり大きくこぎすぎないように注意してください。(足を大きく伸ばしすぎると腰への負担が増してしまいます)
- ❸お尻上げ(ヒップリフト)
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あおむけの状態で膝を立てて、手のひらを床に置きます。お尻を持ち上げ少し浮いたところで一度止めて、そのあとでゆっくりとおろしていきます。お尻(大臀筋)や太ももの前(大腿四頭筋)・後ろ(ハムストリング)、腰回り(脊柱起立筋)に効果的です。
- 運動のポイント
- おなかまわりをイメージして、しっかりと息を吐きながら10回を目安にはじめてみましょう。あまり回数にこだわらず、少しずつ回数・セット数を調整していきましょう。胸、背中、腰回り、腹筋、お尻はすべて「体幹」の構成要素になります。他の部位のトレーニングと合わせて行うことで、効果的に姿勢改善やダイエット効果などにつながります。「ウオーキング」などの「有酸素運動」と合わせて行うことで、より一層の脂肪燃焼効果が期待できます。
- お問い合わせは日本健康運動指導士会群馬県支部(県立心臓血管センター内)
tel 027-269-7455(内線8332)
- 運動はかかりつけの医師の指導のもと適切に行いましょう