対話で心に向き合う
精神保健福祉士
金子 舞さん
精神保健福祉士は「精神科ソーシャルワーカー」と呼ばれる専門職で、医療福祉、行政、教育、介護といったさまざまな分野で活躍している。精神科の外来や入院病棟を備える原病院(伊勢崎市境上武士)で働く金子舞さん(33)は、精神疾患を抱える患者の悩みに寄り添い、入院生活や就業、住まいなどあらゆる面でサポートするのが仕事だ。中には社会との関わりに課題を抱えるケースもあり、患者と家族、地域、行政をつなぐ調整役を担っている。
悩みに耳傾け
支援策を紹介
「医療福祉の仕事に就きたい」という漠然とした思いを抱き、東京福祉大のオープンキャンパスに参加した。そこで初めて「精神保健福祉士」の仕事を知り、精神疾患を抱えた人の相談に乗るという仕事に興味を持った。普段は口下手で、友人と一緒の時も聞き役に回ることが多い。いろいろな人の話を聞き、対応に動く「何でも屋」のような仕事は、自分に合っていると感じた。
病院では病棟や外来の待合室で話を聞き、入退院後の生活について要望や悩みを把握、必要な支援策を紹介している。医師から病状の指示を受けたり、看護師から日常の様子を聞くのも大切。常に院内をパトロールして、他部署と連携することを心掛けている。
無理に相談
しなくていい
相談を受ける時は、座る位置や目線など話しやすい雰囲気を心掛けているが、それでも一言も言葉が出ない時もある。ただ「沈黙」は悪いことではない。情報は言葉だけでなく、表情や涙、沈黙の時間も病状を表す大切な時間だ。話したくなるまで「待つ」姿勢が、相手を深く知るための第一歩だと思う。
高ストレスによってメンタルヘルスの不調を訴える人が増えている。大切なのは集中と休息のバランス。職場でも後輩に「休む時はしっかり休もう」と指導している。
ソフトボールの社会人チームに参加していて、毎週日曜の練習が楽しみ。つらい時は、無理に話さなくてもいい。気心の知れた仲間と一緒に楽しい時間を過ごす、それだけで心は安らぐ。