注意欠陥多動性障害
ミスが多い
ADHDかも?
群馬大学 名誉教授
椎原 康史さん
「職場でうっかりミスが多く、頼まれた用事を何度も忘れ、周囲に迷惑をかけている。今後働いていけるのか心配。ネットで調べたら自分はADHDかも?と思った。きちんとした診断を受けたい」と心療内科を受診する若者が増えています。
ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorder「注意欠陥多動性障害」です。小児・児童期から続く発達障害の一つで、いわゆる多動症です。軽症の場合、就職後に問題が表面化します。症状には「不注意」・「多動性」・「衝動性」の三つの要素があります。
「不注意」としては、気が散りやすく集中できない。片付けが不得意。仕事を中途で放置する。忘れ物が極端に多い。約束を忘れる。時間に遅れる。「多動性」としては、落ち着きがない、順番を待てない。相手の話をよく聞かず、一方的にしゃべる。「衝動性」としては、思いつくと、すぐ口に出すので、悪気はないが相手を怒らせる。気分が変わりやすく、キレやすい。まるで「大きい子ども」。
ADHDへの対応ですが、まずうつ状態など二次的に起きているメンタル疾患の治療が必要です。
次に、ADHDは「障害」というより「性格特性」なので、本人が十分自覚し、できれば職場の人にも理解してもらうことが大切です。
そして、起こりやすい問題への具体的対応を試みます。例えば、用事を忘れてしまうことに対して、記憶に頼らず、付箋紙に書いて貼り、終わったら付箋紙を剥がす…などの具体的工夫です。以上については、ADHDの解説書をじっくり読んでいただくのが、急がば回れの早道です。なるほど!と腑に落ちると思います。
それでも対応が難しい場合、ADHDの薬物療法が有効な場合がありますので、心療内科に相談してください。
協力/群馬県医師会