脳卒中の回復に
寄り添う
看護師
小松 詩歩さん
くも膜下出血や脳梗塞など脳卒中は日本人の死因の第3位でもある恐ろしい疾患。命を取り留めた場合も後遺症が残ることが多い。黒沢病院(高崎市矢中町)は24時間体制で脳卒中患者の救急搬送を受け入れる脳卒中センターを設置する。小松詩歩さん(25)は脳卒中専門病棟(SU)に勤務し、脳卒中患者の回復・リハビリテーションに寄り添っている。
脳卒中専門病棟で患者の看護にあたる小松さん
日々の変化に対応したい
埼玉県内で生まれ育ち、高校生まで将来の進路について明確な目標がなかった。福祉関連の仕事をしていた両親の影響から漠然と医療関連に携わりたいと考えていた。看護職を志したのは、毎日異なるものに直面できると考えたから。「一人の患者さんでも、毎日状況は異なり同じ日はない。1日の中でも容体は変わる。状況に応じて対応することに関心があった」。
埼玉県内の看護大学で4年間学ぶ間、いくつかの病院でインターンシップを体験した。その中で職場の人間関係が良く、雰囲気も良かった黒沢病院に入職した。
表情から要望くみ取る
病棟での勤務を希望していて、脳神経外科の脳卒中専門病棟に配属された。同病院の脳卒中センターは、急性期の患者を受け入れ、集中治療室の脳卒中ケアユニット(SCU)で治療に当たる。その後、専門病棟に移り、退院に向けリハビリテーションを行う。「意識がなかった患者さんの意識が戻り、体のまひが改善され動けるようになったりと、回復を間近で支えられるのがやりがい」と話す。
まひにより言葉がうまく出せない患者とのコミュニケーションや介助には苦労も多い。「言葉がうまく出ない患者さんの表情や仕草を読み取るように努力している」。
変化見逃さないように
脳卒中の患者は肥満の人が多く介助には力が必要となる場合も。手のまひや嚥下障害から、食事が困難な患者には介助の仕方にも工夫を凝らす。
脳卒中の原因は食事や運動不足などの生活習慣や、高血圧や糖尿病などの持病が挙げられる。「人間ドックを受け、持病があれば薬をしっかり服用し、医師のアドバイスを守ることで発症リスクを下げられる」と助言する。
4年目を迎えたが、知識や技術の向上に余念がない。「血圧や脈拍など、患者さんのちょっとした変化にも気づけるようにならないと。急変にも、まだ自分一人で判断できず先輩の指示を仰ぐこともある」。SCUで働くベテラン看護師のように、どんな事態にも対応できるよう自身の成長に全力を注ぐ。