目の「健康管理」に
助力
視能訓練士
柴田 美奈子さん
人が外部の情報を把握し、行動する場合、8割以上を視覚に頼っているともいわれる。視能訓練士は見え方で困っている人たちに寄り添い、検査や視力向上などの指導を通じて目の健康を守る仕事だ。正しい診断や治療につなげるため、医師に正確な検査結果を提供することは、重要な役割の一つ。高山眼科(高崎市緑町)の柴田美奈子さん(34)は、患者の要望を素早くくみ取り、応えられるように試行錯誤しながら技術を磨いている。
再検査がきっかけ
高校の健診で初めて視力の再検査をすることになった。びっくりしながら眼科を受診したことが、「視能訓練士」に興味を持つきっかけだった。将来について考えていたときに改めて知り、資格の取れる栃木県の医療大学に進んだ。4年生の時、2カ所の眼科で1カ月ずつ、必死で臨床実習に取り組んだ。12年のキャリアを積んだ今も「毎日新しい発見があり、先輩から学ぶことがたくさんある」と話す。
正確な数値を迅速に
視力をはじめ視野や色覚、眼圧、斜視や子供の屈折異常を調べる弱視検査のほか、レーシックなどの近視矯正手術を行う前の適応検査、眼鏡やコンタクトレンズの調整や安全な使い方のアドバイスなど、内容は多岐にわたる。見えづらい不安を抱えて受診する患者の年齢や性格、要望は一人一人違う。「先生の診断に直結することなので、問診のときには耳を澄ましてお話を聞き、負担を掛けないように、早く正確な数値を出せるように」努めている。
特に子供は検査自体を警戒していることが多く、集中力も続かない。限られた時間の中で、まず痛いことはしないことを伝え、遊びながら声を掛けて「保護者の心配を解決できるように」検査を進めている。
早期受診で効率高く
県眼科医会が全国に先駆けて3歳児健診に屈折検査を導入し、弱視の早期発見・治療に成果を上げている。子供は眼鏡を掛けてよく見えることがわかると、嫌がらずに掛け続けるようになる。「視覚の発達は9歳くらいまで。早めの受診で治療効果も高まる」と保護者に呼び掛ける。「患者さんによく見えるようになったよと喜んでいただける時が、一番うれしい」。
毎月1回、院内研修で新しい機器の使い方や医療情報を学び、コンタクトレンズの新製品の勉強も欠かさない。ここ数年で目の人間ドックを自費で受ける中高年の患者が増えている。「目から入る情報が多いのは事実です。早期発見・治療のためにも見えづらいなと感じたら迷わず受診を。コンタクトレンズはインターネットで手軽に買えますが、まずは受診して自分に合ったレンズを購入し、定期的に検査を受けて大切な目の健康を守ってほしい」と助言する。