地域から 頼られる存在に

理学療法士 茂木 昌美さん

高齢化に伴い、加齢で軟骨がすり減り、膝や股の関節が変形する「変形性関節症」が増加している。その治療法の一つが、障害が起きた関節を人工関節と入れ替える「人工関節置換手術」だ。上牧温泉病院(みなかみ町石倉)は、この手術で関東有数の実績を誇る。病棟の患者を担当する理学療法士、茂木昌美さん(28)は、1人1人の回復状態や生活スタイルに合わせたリハビリを提案している。

入院患者のリハビリ指導を行う茂木さん

リハビリで元気取り戻す

小学生からバレーボールに打ち込み、中学生の時に腰を痛めて治療を受けた。その際、担当の理学療法士がとても熱心に関わってくれたのが印象に残っている。リハビリのおかげで回復し、選手として競技に復帰。中学時代には連続で県大会優勝を果たした。

「自分もけがに悩む人たちを助ける理学療法士になりたい」。高校卒業後は高崎健康福祉大に新設された理学療法学科へ進学し、地元にある上牧温泉病院に就職した。

退院後の生活を想定

現在は病棟に勤務し、入院患者に対して一対一のリハビリ指導を行っている。手術後の膝関節の可動域を回復させたり、弱った筋肉を鍛えたり。座る、立つ、歩くといった日常生活の基本動作に加えて、退院後の生活スタイルに応じた運動機能の改善にも取り組む。

「痛みはいつまで続くのか」「いつ歩けるようになるのか」。手術後に不安を抱える患者には、回復状態や経過予測を丁寧に伝えている。「何のためのリハビリなのかをしっかり説明し、理解してもらうことがモチベーション維持につながる」。

毎日続けられる習慣を

患者の要望や回復状態について、医師や看護師、ケアマネージャー、家族といった関係者と共有することも理学療法士の大切な仕事だ。「あの人なら何とかしてくれる。そんな風に地域から頼られる存在になりたい」。退院後も気軽に病状を相談し合える関係を築くことが、介護予防の第一歩になると考える。

加齢による身体機能の衰えは誰もが経験する。大切なのは、痛いから動かさないではなく、痛みを減らすために動かすという前向きな気持ちだ。「椅子に腰掛けて膝を伸ばす運動など、簡単なことで良いので1日数回でも続ける。毎日の習慣にしてほしい」。

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