ノロウイルス感染症

手洗いと 消毒で防ごう

川島内科クリニック(渋川市)
川島 崇さん

ノロウイルス感染症は、ウイルスの中でも小さい「ノロウイルス」によって起こる感染症です。牡蠣かきなどの二枚貝を原因とする「食中毒」の原因ウイルスとして知られていますが、最近は、ヒトからヒトへの感染や汚染された器具が原因の「感染症」としても重要視されています。11~1月に多く、冬季下痢症と呼ばれていました。

感染後24~48時間で、下痢、吐き気、嘔吐
おうと
、腹痛、発熱などの症状が出ます。通常3日以内に回復しますが、ウイルスは1週間程度ふん便中に排出され続けます。感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はないため、対症療法が行われます。乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。胃腸が弱っているので、消化の良いものを食べるようにしましょう。症状が強い場合は、点滴などを行うこともあります。

ワクチンはないため、手洗いが重要です。調理前、食事前、トイレに行った後、下痢の汚物処理やオムツ交換などを行った後には必ず行いましょう。便や吐物にはノロウイルスが多数含まれています。せっけんを十分泡立て、手指を洗浄します。すすぎは流水で十分に行い、清潔なタオルまたはペーパータオルで拭いてください。

消毒方法としては、他の微生物に比べると熱に強いため、85℃で1分以上の加熱が必要です。逆性せっけん、アルコールは効果不十分で、家庭用漂白剤や消毒液などの次亜塩素酸ナトリウムが有効です。吐物を処理する場合は、マスクと手袋を使います。

嘔吐・下痢などの症状が治まり、食事が取れていれば、子どもの登園・登校が可能です。ただし、ウイルスは便中に長期間排出されることもありますので、排便後やおむつの交換時の手洗いが重要です。

協力/群馬県医師会
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