股関節疾患の方に おすすめの水中運動

健康運動指導士
指導 健康運動指導士 長谷川 舞さん

(群馬県医師会  群馬リハビリテーション病院  医療体育室 勤務)

股関節疾患はしゃがみ込みや歩くなど移動が困難になり、痛みも強くなる疾患です。特に多いのが「変形性股関節症」といいます。

股関節疾患の方への水中運動プログラムをご紹介しますので、身近な近隣のプール等での運動療法にお役立てください。

おすすめの水中運動

① スクワット

  1. 足を肩幅に開いて背筋を伸ばして構える。
  2. 踵が浮かない範囲で膝を曲げて腰を落とす。
<ポイント>
  • 腰が反ったり前のめりになったりしない。
  • 股関節に負担がかかる為、内股姿勢にならない。
  • 目線は真っ直ぐ前を向く。

②腿上げ

  1. 右足を一歩後ろに引き、左足は膝を軽く曲げて構える。
  2. 後ろに引いた右足を臍の高さまで引き上げ、左足は膝を伸ばして片足立ちに。
    ※左足も同様におこなう。
<ポイント>
  • 腰が反ったり前のめりになったりしない。
  • 後ろに引く足は踵まで着かなくても可。
  • 目線は真っ直ぐ前を向く。

③足の横上げ、前上げ

  • 横上げ
    1. 立位姿勢から、右横に向かって足を上げる。
    2. 上げた足を左足の横に下ろし、立位姿勢に戻る。
      ※左足も同様におこなう。
  • 前上げ
    1. 立位姿勢から、前に向かって右足を上げる。
    2. 上げた足を左足の横に下ろし、立位姿勢に戻る。
      ※左足も同様におこなう。
<ポイント>
  • 横上げ・・・ 足は真横からやや後方寄りに上げる。
  • 前上げ・・・ 足は体に対して真っ直ぐ前へ上げる。
  • 共 通・・・ 腰が反ったり前のめりになったりしない。
    左右側方に体が倒れない。
    上げる足、支持足ともに膝は伸ばしたままおこなう。
    目線は真っ直ぐ前を向く。

今回の運動を参考にして頂き、股関節の周囲筋群を柔らかくしたり、股関節を支える筋肉を鍛えたりすることで、より安心安全に日常生活を送りましょう!

健康運動指導士
群馬リハビリテーション病院 院長 眞塩 清さん

股関節疾患の症状を改善するためにおこなう運動の目的は、痛みをやわらげることや、股関節を動かすために必要な筋力の維持です。痛みにより不活動になると、筋力低下が助長され、動きもさらに悪くなり、悪循環に陥ってしまいます。そうならないためにも、股関節の可動域を広げ、筋肉を鍛える運動をして、股関節の安定性を高め、痛みをやわらげたりすることで、生活の質を維持・改善することがとても大切になります。

ただし、股関節への衝撃が強い運動は避ける必要があるため、股関節への負担が少なく、脚の筋肉を鍛えることができる運動がおすすめです。今回紹介している水中運動や、その他にも固定式自転車をこぐことなどがあります。また、手軽に自宅でできる運動を継続することも効果的です。

また、症状が進んだ方は、杖を使用して頂く事も大切です。健側(症状のある股関節の反対側)に杖を持つことで、股関節にかかる荷重は非使用時の約3分の1になります。

  • お問い合わせは日本健康運動指導士会群馬県支部(県立心臓血管センター内)
    tel 027-269-7455(内線8332)
  • 運動はかかりつけの医師の指導のもと適切に行いましょう。
発行
上毛新聞社営業局「元気+らいふ」編集室
FAX.
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