感染防げ
新型コロナウイルス
県立小児医療センター
アレルギー感染免疫・呼吸器科
清水 彰彦さん
新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)拡大を受け、国は全国的なスポーツや文化イベントの中止・延期、規模縮小の対応をはじめ、全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請するなど大きな影響が出ている。県立小児医療センターアレルギー感染免疫・呼吸器科医師の清水彰彦さんは「情報に流されず、感染しない、感染させない対策を取ってほしい」と訴える。
誰でも感染し得るウイルス
コロナウイルスは、風邪の原因の4種類と、2002~03年に30を超える国や地域で拡大した重症急性呼吸器症候群(SARS)と重症肺炎を起こす中東呼吸器症候群(MERS)の計6種類が知られていました。
新型コロナウイルスは、昨年12月に中国の湖北省武漢市で発見された7番目の新たなコロナウイルスです。これまで人類に感染したことがないウイルスのため、誰にでも感染する可能性があります。グローバル化で人の往来が激増し、人から人への感染が起き、世界中で感染が広がっています。
高齢や基礎疾患で重症化
飛沫感染と接触感染が主な感染経路です。飛沫感染は、咳などで出たしぶきでおよそ2メートル以内の人に感染します。接触感染では、ウイルスが付着したドアノブや机などに触れることで手指が汚染され、目や鼻、口を触ることで感染します。
濃厚接触は、感染症が疑われる人との同居や、タクシーなどの車内に一定時間一緒にいたり、近距離で会話をしたりすることを言います。適切な感染対策をしないと、ウイルスに感染する可能性が高くなります。
潜伏期間は平均5日、最短1日、最長で14日とされています。PCR検査で感染の有無を判断します。致死率は約2%と推定され、SARSの約10%、MERSの約30%と比べ低いですが、患者数が多いため、亡くなる人の数は多くなっています。1人の患者から1.4~2.5人に感染させると推定され、インフルエンザと同程度の感染力です。
8割以上の患者は軽症です。重症化しやすいと判明しているのは、高齢者と糖尿病や高血圧、心臓血管疾患や慢性閉塞性肺疾患などの基礎疾患がある人。重症例対象の研究では、ほとんどの症例に発熱、多くは咳や呼吸困難が起こります。筋肉痛や倦怠感も比較的多いです。重症化で、両肺に肺炎が広がり、血液中の酸素濃度が維持できなくなったり、血圧が下がったりします。不整脈や腎臓の障害も報告されています。
長引く発熱は相談を
対策として、自分が感染しない、他人を感染させない視点が必要です。最も重要なのは、せっけんでの手洗いやアルコール製剤による手指消毒です。不用意に目や口を触らないことも大切です。体調不良時は、仕事を休み外出を控え、咳やくしゃみが出る時はマスクやハンカチなどで口や鼻を押さえる「咳エチケット」を徹底してください。
現状で確立した治療法はありません。安静にして十分に水分と栄養を取ることです。不安をあおるデマも多く、正しい情報なのか注意することも必要です。のどの痛みや発熱など風邪のような症状から始まることが多いとされ、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」か「強いだるさや息苦しさがある」人は、県保健予防課などに相談してください。