介助通じて 日常生活を支援

介護福祉士 山田 麻里さん

高齢者や体に障害のある人を介助する介護福祉士。介護施設で働くイメージが強いが、病院など医療現場の看護サポートでも重要な役割を果たしている。美原記念病院(伊勢崎市太田町)に勤める介護福祉士、山田麻里さん(35)は、入院患者の介助や身の回りの世話などを担当。群馬県独自の「ぐんま認定介護福祉士」を修了するなどスキルアップに努め、患者やその家族の日常を支えている。

看護師と協力して、病室のシーツを手早く替える山田さん(左)

人の役に立つ存在に

「 幼いころから大好きな祖父母のお手伝いをして、感謝されることがうれしかった」。誰かの役に立つ仕事がしたいと医療職を志し、最初は看護師の養成学校に通った。医療現場の仕事を知るうちに、自分がやりたいのは医療よりも、退院後にどう暮らしたいかを考える生活支援に近いと気付いた。周囲から「適性がある」と勧められたこともあり、介護施設で働くことを決意。実務経験を積みながら、独学で国家試験に合格した。

"自立"が目的の支援

結婚を機に高崎市に移り、29歳の時に現在の勤務先で働き始めた。看護補助者として、主な業務は食事の配膳や手伝い、入浴や排せつの介助、シーツの交換、部屋の清掃など。入院生活を快適に過ごしてもらうため、一人一人の病状や回復状態に合わせたスケジュールを組んでいる。

同じ介護職でも病院と介護施設は仕事のゴールが違う。介護施設は高齢の入所者が多く、生活中心に支援する。病院では看護チームの一員として、退院後の自立を見据えた支援を行う。入院患者は、脳卒中など脳神経疾患を中心に急性期から回復期まで年代や症状もさまざま。「『やってあげる』姿勢では相手のためにならない。その人ができる部分を見極めて、細かなサポートを心掛けている」。

地域の介護を底上げ

医療ケアを主とした病院で、日常の延長で関わる介護職は患者とその家族に近しい存在であり、細かな要望を伝えやすい。生活支援を起点に相手の人生に深く関わり、心身を支えられるのがやりがいだと言う。

病気やそれに伴う介護は年齢を重ねれば誰もが経験し、避けることはできない。「もしも」が起きた時、家族の日常をどう支えるのか。「具体的に備えることで安心でき、介護に対するネガティブなイメージを減らすことができる」と助言する。

介護への理解を深め、正しい知識を広めるのも介護福祉士の重要な役割だ。「私自身も『ぐんま認定介護福祉士』の研修を通して、現場のリーダーとして得た経験を地域に還元していく必要性を感じた。今後も介護のスキルの質を高め、患者やその家族への関わりを通して、地域全体の"介護力"向上に貢献していきたい」。

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