健康の維持・管理を
後押し
黒沢病院附属ヘルスパーククリニック
高崎健康管理センター 保健師
井戸谷 恵さん
保健師は、心身共に健やかに暮らせるように病気の予防や健康管理の手助けをしている。地方自治体の保健所などで働くイメージが強いが、病院の健康診断や人間ドックでも大きな役割を果たしている。黒沢病院附属ヘルスパーククリニック高崎健康管理センター(高崎市矢中町)に勤める井戸谷恵さん(30)は、受診者と丁寧に向き合い、健診結果の正しい見方を伝え、データを基にして健康の維持や生活改善のための助言や指導を行っている。
病気予防に関わりたい
健康は長い人生を支える大切な土台になると考え、看護学部に進学。病気の「予防」に関わる仕事をしたいと保健師の資格を取得した。現在の職場に就職して8年、2児の母になり、保健師数人のまとめ役として働き続けている。1日100人から多い時で150人ほどの受診者を迎える。問診票を確かめ、「横になって採血したい」などの要望を細やかに聞き取り、安心して安全に検査が受けられるように配慮している。
生活習慣改める指導
健診を終えて医師から結果の概要を聞いた受診者に、数値に関心があるタイミングを逃さず、保健指導をしている。40歳以上で血糖や脂質、血圧の数値が高く、動脈硬化のリスクがあるメタボリックシンドロームの人や予備軍の人には「特定保健指導」を行っている。検査データで健康状態を正しく理解してもらい、生活習慣を改善するための減量目標を設定したり、再検査や治療の予約を案内して健康管理を後押しする。必要があれば、管理栄養士や健康運動指導士に連絡して、栄養面や運動方法について相談に乗っている。
健康診断は1年に1度、自分の体の状態を振り返る大切な時間。病気を早期発見し、予防に取り組む良い機会になる。「笑顔で帰られる姿を見ると安心します」
言葉や話し方を選ぶ
糖尿病などの持病によって検査中に具合が悪くなったり、検査結果の説明を聞いて落ち込んでしまう人もいる。次回は気持ち良く受診してもらえるように、検査に当たる医療スタッフとも情報や課題を共有している。会話が仕事の中心になるため「言葉の選び方や話し方一つでも、受診者の受け取り方は変わります。常に丁寧な対応を心掛けています」と話し、笑顔を絶やさない。
多めの飲酒や喫煙、肥満によって数値の異常が見つかる人もいれば、危険因子がないのに病気が見つかる人もいる。生活習慣の見直しを勧めるとともに「自分は大丈夫だと過信せず、年に1度は心身のチェックをしっかりしてほしい」と呼び掛ける。病気の早期発見・治療につなげるための再検査の大切さも重ねて訴える。「同じ日は一日もなく、毎日が勉強。目の前の仕事を一つずつ、コツコツとやっていきたい」