万全な体制整う
―妊婦が感染した時の対応は。
中国で感染した妊婦11人のうち、10人が帝王切開をしました。出産までの時間が長いと、院内感染のリスクが高まるための措置です。日本でも同様の対応が勧められています。
胎児は母親から子宮内感染する可能性がありますが、感染した新生児が重症化しやすいという報告は今のところありません。
5月に特例承認された国内初の治療薬「レムデシビル」(抗ウイルス薬)は、データがないため妊婦への治療効果や影響は分かっていません。
―県内での医療体制は。
現時点では、県内で妊婦が感染した報告はありません。PCR検査で陽性が確認され、入院が必要な場合、「県新型コロナウイルス感染症対策本部病院間調整センター」が入院調整を行います。感染した妊婦の受け入れは、県内に4施設あり、万全な体制を整えています。また、感染が疑われる妊婦が分娩した場合は、新生児の隔離が必要となります。
―里帰り出産の県内の受け入れ状況は。
日本産科婦人科学会は、居住地での出産を勧めていますが、県内での里帰り出産の受け入れは、原則拒否していません。妊娠30週くらいで余裕を持って里帰りし、最低でも2週間程度、実家などに滞在して発熱などの症状がないことを確認してから来院してください。
また、里帰りを希望していても、状況によって居住地での出産に切り替えることもあると思います。その際は、担当医師に相談して施設を決めてください。
―不妊治療者への対応は。
感染防止の観点から、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会の3学会の見解として、「基本的に延期できるものは延期」としています。
特定不妊治療(体外受精または顕微授精)を受ける夫婦が、治療の延期を余儀なくされることが想定されます。国は不妊治療の助成対象となる年齢要件を時限的に緩和し、治療期間初日の妻の年齢を43歳未満から44歳未満に引き上げるなどの対応をしています。
―妊婦や妊娠希望者にメッセージを。
院内感染を防ぐためにも、体調不良をはじめ、感染者や疑いがある人と濃厚接触した場合は、受診前に、必ずかかりつけの産科医療機関に電話相談してください。
妊婦健診の受診を延期する場合には、可能であれば自宅で血圧を測定して記録してください。不正出血、おなかの痛み、破水感、血圧上昇などの症状がある場合にも医療機関に電話相談してください。
立ち会い出産や面会を控える病院も多いですが、これから出会う赤ちゃんのためにも、手洗いや人混みを避けるなどできる対策をしっかりとして感染を防ぎましょう。