検査体制の整備進む
冬場に向け 一層の新型コロナ 対策を

全国的に新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、本県でも新規感染者が増加し、県は8月に独自指針に基づく警戒度を2に引き上げた。感染が拡大し始めた当初と比べ、相談窓口となる専用コールセンターをはじめ、各地にPCR検査センターや発熱外来を設置するなど体制強化に努めている。検査方法もPCR検査だけでなく、簡易の抗原検査も導入され、感染者の早期発見が進む。本県で初めて感染者が確認されてから半年。感染予防や早期発見につながるよう、改めて対策や検査体制などについて紹介する。

PCR検査の拡充

息苦しさ(呼吸困難)や強いだるさ(倦怠けんたい感)、高熱のいずれかの症状がある場合、また、高齢者や糖尿病、呼吸器、心臓などに持病がある人は重症化しやすいため、発熱やせきなどの風邪症状が出た場合はすぐに相談することが重要だ。

相談窓口は「県新型コロナウイルス感染症コールセンター」に一本化しているが、前橋市と高崎市は各保健所が相談窓口を設置。それ以外の市町村の住民はコールセンターが受け付け、感染の疑いがあれば各地域の保健福祉事務所(県内10カ所)が対応する。

相談窓口では、症状や行動歴、感染者との接触の有無などを聞き取り、感染リスクが高いと判断した場合は、最寄りの「帰国者・接触者相談センター」(各保健所、各保健福祉事務所)が検査できる医療機関を紹介する。

感染対策を徹底しながらPCR検査を行う=県衛生環境研究所

現在、県内でPCR検査ができる医療機関は「帰国者・接触者外来」が28カ所、各地の医師会などが運営する「PCR検査センター」が11カ所あり、拡充している。

帰国者・接触者外来は、帰国者・接触者相談センターから紹介されて受診するが、PCR検査センターは、かかりつけの診療所で診察を受けて感染が疑われた場合、診療所から直接の紹介で検査できる。また、より迅速に対応できるよう、各地域の500を超える病院・診療所でもPCR検査ができる体制整備が進められている。

抗原検査も活用

PCR検査は、ウイルスの遺伝子を増幅させて検出する方法で、検体の優先順位は①喀痰かくたんもしくは気管吸引液②鼻咽頭拭い液③唾液―の順となっている。喀痰は飛沫ひまつが飛びやすく医療関係者の感染リスクが高いため、鼻の奥の粘液を綿棒で拭う方法と、唾液での検体採取が中心となっている。さらに唾液は安全で簡易なため、今後検査数が増えることが期待されている。検査は県衛生環境研究所や民間の検査機関等が実施。検体を検査機関に送るため、結果が返るまで1日~数日かかることもある。

ウイルス特有のタンパク質(抗原)の有無を調べるのが抗原検査。採取した鼻の奥の粘液を検査キットで反応させ、30分程度で結果が出る。PCR検査と比べて検出に一定以上のウイルス量が必要なため使用できる対象に限りがあるが、肺炎などの救急搬送時やすぐに結果を知りたい時に有効で、検査できる医療機関は県内でも増えている。PCR検査、抗原検査ともに保険適用となっており、新型コロナウイルス感染症の確定診断で活用されている。

一方、抗体検査は自費診療で、血液中の抗体の有無から過去の感染歴を調べる検査。感染状況をつかむ研究等で用いられている。

PCR検査や抗原検査で陽性だった場合、医師が届け出た各地域の保健所が入院勧告を行う。県が入院先の医療機関を調整し、県内12カ所ある感染症指定医療機関または患者の受け入れに協力する医療機関に入院する。

感染が疑われる患者などのスクリーニング(ふるい分け)等の目的で「発熱外来」を県内15カ所に設置。発熱患者の感染リスクを考慮し、各地の専用施設で診察を行う。感染の疑いがある時は、帰国者・接触者外来やPCR検査センターで検査を受けてもらう。

8月末現在、本県ではPCR検査1万2213人、抗原検査2297人の計1万4510人が検査を受け、440人の感染を確認、うち19人が亡くなっている(人数はすべて累計)。

予防の基本徹底を

感染者のくしゃみやせきなどの飛沫と、ウイルスに触れた手で口や鼻を触る接触で感染する。感染経路を断ち切るためには、「手洗い」と「咳エチケット」を徹底し、「3密」を避けて集団感染を防ぐことが求められる。

夏場には感染者が少なくなると考えられていたが、7月中旬以降感染者が増加。これから迎える冬場は乾燥して飛沫が飛びやすい状況が生まれる。感染拡大を防ぐためにも、一層の感染症対策に努める必要がある。

県保健予防課の担当者は「県として3密のリスクが高い店舗・場所の利用など十分注意するよう呼び掛けている。感染拡大防止のため、感染症予防の基本に立ち返り、新しい生活様式を実践してほしい」と呼び掛けている。

PCR検査の流れ
※掲載情報は9月2日現在の内容です。 最新の情報は、県または 各市町村のホームページ等で 確認してください。
新型コロナウイルス感染症対策
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問い合わせ窓口

県新型コロナウイルス感染症コールセンター
0570-082-820 (平日・土日祝日9時~21時)
時間外は受診相談 027-223-1111
前橋市保健所
027-220-1151 (平日・土日祝日8時30分~21時)
027-224-1111 (上時以外の時間)
高崎市保健所
027-381-6112 (平日8時30分~21時)
027-381-6123 (夜間・土日祝日)
県こころの健康センター(こころの相談)
027-263-1156 (平日9時~17時・土日祝日9時~13時半)
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