「自分らしい
暮らし」を
支援
訪問看護師
石原 里栄さん
療養生活を送る要介護者や傷病者の住まいを看護師らが訪れ、療養生活の援助や健康状態のチェック、医療処置、リハビリなどを行う訪問看護。前橋市の群馬県看護協会訪問看護ステーションの看護師、石原里栄さん(35)は、地域の医師や薬剤師、ケアマネジャーらで展開するチーム医療の一員として、それぞれと連携を取りながら、利用者が「自分らしい暮らし」を続けるための支援を行う。
他業種から看護師へ
専門学校を卒業後、建築関係の仕事に就いていたが、祖父母の入院をきっかけに看護師を志した。遠慮して看護師に要望を言えずにいる祖母を見て、何もできない自分がもどかしく、「人に何かしてあげたい」という気持ちが膨らんだという。訪問看護を知ったのは、看護学校の実習の時。一人一人に長く、落ち着いて関われるところに魅力を感じており、昨年8月、転居を機に訪問看護ステーションの扉をたたいた。
工夫して快適なケアを
利用者の自宅を訪れ、体の清拭や入浴介助、褥瘡の処置や吸引・人工呼吸器の管理などを行う。「利用者の生活の中に入っていくので、その人のペースに合わせた援助を心掛けている」。体の向きを変えるにしても、快適な方法は人それぞれ。病院のように資機材が充実しているわけではないので、各家庭にあるものを工夫して使い、効率良くケアを行っていく。利用者の疾患の種類は幅広く、難病など初めて向き合うものもある。主治医やケアマネジャーと連携を取りながら最適なケアを探る中で、「経験や知識が足りない」と焦る気持ちもあるが、利用者やその家族が優しく声をかけてくれることに助けられているという。「頼りにしていると言ってくださるので、それに応えたい。日々勉強です」
働きやすい職場で成長
ステーションは女性が働きやすい職場を目指し、それぞれのライフスタイルに合わせた契約を目指している。現在は3人の子育て中ということもあり、週3回、半日の非常勤。家庭との両立も上々で、気持ちにも余裕が生まれた。「やりがいのある仕事。いずれは常勤となって、ずっと続けていきたい」。目指すのは、「どんな家に行っても、利用者が希望するケアができる看護師」だ。コミュニケーションを取りながらケアに必要な情報を引き出すことが求められるが、やりとりの中で自分が癒やされ、教えられることも多い。「同じ病気でも向き合い方が人によって違う。どの言葉を使えば、その人にとってプラスになるのか。そんなことを学ばせてもらっている」。人のために、という初心は変わることなく、成長するための原動力となっている。