潰瘍性大腸炎

最も多い指定難病 継続治療が鍵

群馬大医学部附属病院
消化器・肝臓内科 栗林 志行さん

潰瘍性大腸炎は大腸がただれてしまう病気で、患者数は徐々に増加しています。厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象疾患(指定難病)は306疾患ありますが、その中で最も患者数が多くなっています。最近では、安倍晋三前首相の退陣理由ともなった病気として耳にする機会も増えたと思います。

原因としては、腸内細菌などの環境因子や免疫学的異常などの関与が指摘されていますが、十分に分かっていません。発病年齢は30~40代が最も多いですが、65歳以上の高齢者の方にも見られます。症状は粘血便(粘液に血液が混ざった便)が最も多く、下痢や腹痛、腹部不快感などが多いとされています。

潰瘍性大腸炎について

診断は大腸カメラで行い、肛門直前部分の直腸からより近いところに連続するただれが見られるのが特徴的です。治療にはメサラジンや免疫を抑える薬が使用されますが、最近はさまざまな治療薬が開発され、選択肢が広がっています。治療法は増えていますが、残念ながら現在のところ潰瘍性大腸炎は完治する病気ではありません。

そのため、悪化した病気を良くする治療(寛解導入療法)を行い、その後は良くなった状態を維持する治療(寛解維持療法)に移行します。従って、病状を良くすることは非常に重要ですが、いったん良くなった後もその状態を維持するためにしっかりと治療を継続していく必要があります。

治療を受けながら仕事をしている患者さんはたくさんいます。潰瘍性大腸炎を克服してプレーしているバスケットボール選手もいるそうです。もし、血便や下痢が続いている場合には、怖がらずに医師に相談してください。

協力/群馬県医師会
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